- 2025.10.08
2023年にトルコ共和国として建国100周年、2024年には日本との外交関係樹立100周年を迎えました。2025年9月14日から21日までトルコ共和国を訪問されていた彬子女王殿下は、日本とトルコの外交関係樹立100周年を記念する重要な節目において、両国の考古学分野における新たな協力体制の構築や文化交流の推進を目的として、トルコの古代遺跡を視察されました。
海外における日本の考古学界の重要な進展として、彬子女王殿下は、シャンルウルファ県アヤンラル・ホユック遺跡で新たな発掘調査の開始を公式に発表。これは、トルコ文化観光省による大規模発掘プロジェクト「タシュテペレル(石の丘群)」の12番目の調査地であり、殿下は祖父である三笠宮崇仁親王殿下が使用されたのと全く同じ鍬を用いて鍬入れの儀を行われました。この発掘は、千葉工業大学と中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所との共同で実施される予定で、日本は人類史において最も重要な考古学地域の一つであるこの地において、新石器時代研究の最前線に立つこととなります。
彬子女王殿下は、1万2000年前の巨石遺跡「ギョベクリテペ」を訪問され、新たに発見された人像を最初に視察されたました。この人像は、新石器時代における祭祀生活の理解を一変させる可能性を秘めており、考古学界に大きな影響を与えるものと期待されています。
また、彬子女王殿下は、イスタンブルのトルコ・イスラム美術博物館にて「日本・トルコ外交関係樹立100周年記念:出光美術館所蔵 日本陶磁展」の開幕式にご臨席になりました。本展覧会では、日本の陶磁器の傑作59点がトルコで初めて公開され、昨年東京で開催され大好評を博したトルコ展の成功に応える形となっています。さらに、殿下はユルドゥズ宮殿の日本コーナーも視察。ここでは明治天皇からスルタンアブデュルハミト2世に贈られた歴史的な木工道具が展示されており、100年以上にわたる日トルコ友好の確かな証として紹介されています。
今回のご訪問は、三笠宮家が三世代にわたりトルコとの関係に献身してきたことを象徴するとともに、皇室が日トルコ両国の友好関係に深く関与してきたことを改めて示す機会となりました。また、殿下は訪問中、爪に日本とトルコの国旗を模したネイルデザインを施され、この友情の証はトルコのメディアや市民の間でも大きな注目を集めました。
今回のご訪問は、日本の考古学研究、文化展示、学術交流への参加拡大の基盤を築くものであり、トルコおよび中東地域における日本の大学・研究機関・文化団体に新たな機会をもたらす可能性があります。この歴史的訪問は、日トルコ外交関係100周年を祝うとともに、今後数十年にわたり世界で最も重要な考古学的発見における日本のリーダー的役割を確立するものとなりました。