- 2024.09.11
トルコで採れる蜂蜜は、それぞれの原産地の個性を反映し、様々な風味と色合いで提供されている。蜂蜜はトルコの朝食やデザートでは欠かせない重要な食材で、トルコの蜂蜜の産地は最高級の蜂蜜として有名なだけなく、自然の美しさと歴史的・文化的遺産でもある。
アナトリアは、アジア大陸最西部で西アジアの一部をなす地域である。現在はトルコ共和国のアジア部分をなす。日本語ではアナトリア半島と呼ばれる事が多いが、英語圏では「半島」をつけない単なるアナトリア(アナトール)と表記して地域を表す言葉である。また、小アジアとも表現されることもあり、漢字では小亜細亜と表記される。
トルコ北東部、東アナトリア地方のグルジアとの国境地帯にある都市カルスやアルダハンでは、民族舞踊の踊りやコンサートなども行われる「ハチミツフェスティバル」が2024年8月9日(金)から8月11日(日)まで開催される。絵のように美しいハニートレイルに沿って旅路を行けば、個性豊かなハチミツの味覚を堪能できるだろう。
ハチミツフェスティバルが行われるカルスは、1600種以上の花を咲かせるオアシスがあり、そのうち100種以上が固有種。カルス蜂蜜は、カルス市の地理的表示のある特産品のひとつで、その香り、淡い色合い、何千もの野の花の香りの風味で有名。蜂蜜の生産は古代にまで遡り、何世代にもわたり受け継がれてきた伝統的な製法で作られている。ちなみにカルスはチーズや乳製品の生産地としても有名。
トルコ南西部の町、エーゲ海と地中海の合流点にあるタイムと松の香りが漂うダッチャ半島は、美しい海岸や島々が点在する。穏やかなリゾート地であり、オリーブやアーモンドの木立は、この地方に美食の恩恵をもたらし、タイムや松の木も豊富で、この地方独自の蜂蜜に影響を与えている。特にタイムの蜂蜜は、ダッチャ半島とその周辺地域で最もよく知られている花の蜂蜜のひとつ。純粋なタイムの花のエッセンスをミツバチが集め、鮮やかな色、タイムの香り、渋みがあるが甘い風味が特徴。その他、松の蜂蜜は、花の蜂蜜よりも濃い色合いと芳香があり、早春に咲くアーモンドの花から花粉を集めたミツバチが作る蜂蜜は、甘くエネルギッシュな香りで、色は薄くて程よい甘さが特徴。
そのほかのトルコの蜂蜜として世界的に有名なアンツァー蜂蜜がある。アンツァー蜂蜜はカチカル山脈の麓にあるアンツァー高原で生産されている。海抜2,300~3,000メートルの高原には野草が豊富に生い茂り、この多様な生態系がアンツァー蜂蜜に独特の風味を与えている。400種以上の花(そのうち50~60種はこの地方の固有種)から採れる花粉を集めるコーカサス種のミツバチによって作られており、5月から6月にかけてアンツァー蜂蜜の巣箱が高原に設置され8月に収穫される。