- 2024.12.13
2021年5月18日の国連総会にて、2022年を「国際ガラス年」とすることが定められた。チェコには「ボヘミアガラス」として知られるガラス製造の長い歴史があるが、今年の国際ガラス年に合わせ、チェコのクリスタルガラス、カットストーン、シャンデリア、ジュエリー、ガラスビーズ、置物、ガラス彫刻など、多彩なガラス工芸の作品を鑑賞できる展示会やイベントが北ボヘミア地域を中心に予定されている。
チェコのガラスメーカー
カットクリスタルの代名詞になっている「リュックル・クリスタル・グラスワーク(Rückl Crystal glassworks)」は1846年創業の老舗工房。北ボヘミアの村ポニクラーにある「ラウティス(RAUTIS)」の吹きガラスとガラスビーズのクリスマスデコレーションは2020年にユネスコ無形文化遺産に登録されている。西ボヘミアのカルロヴィ・ヴァリは、温泉が湧き出るスパの町として有名なだけでなく、チェコ有数のガラス製造地のひとつ。1893年に建てられたモーゼル・グラスワーク・ビジターセンターでは、モーゼルのガラス製造の歴史について学べる。かつてフランツ・ヨーゼフ一世やペルシャのシャー、ムサフェレディン、英国王エドワード七世などの宮廷御用達業者となり、現在もその芸術的なガラスの生産を続けている。日本でも大相撲の優勝力士にチェコ共和国友好杯としてモーゼル社製のクリスタルグラスの友好杯が授与されている。
チェコのガラス作品を鑑賞できる場所として博物館がある。北ボヘミアのヤブロネツ・ナド・ニソウにあるガラスと宝飾品の博物館には、「ジュエリーの終わりのない物語」と「魔法の庭園-七百年の歴史を持つチェコガラス」という2つの常設展示があり、歴史的な宝石や3,000年前のコスチュームジュエリーなどを鑑賞できる。ボヘミア北部のノヴィー・ボルにあるガラス博物館の展示スペースには、バロック時代から現在までのガラスが展示されている。また、セラーにある展示スペースでは、チェコの著名なガラス工芸家による現代美術の展示もある。今年の国際ガラス年の一環として、ガラス職人Ilja Bilekによる展示会(2月26日~5月22日)、Crafts and Arts in Glass(6月18日~10月2日)、チェコのガラス職人でデザイナーFrantisek Jungvirtによる展示会(2022年10月22日~2023年1月31日)が予定されている。