一定の条件下の旅行における認知症リスク低下の可能性を確認
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2021年07月22日公開

エリア:指定なし / ジャンル:企業動向・セミナー , 

クラブツーリズムと東北大学は、「旅行が認知症予防にもたらす効果」を共同研究し、一定の条件下の旅行における認知症リスク低下の可能性を確認した。(2021年3月の学術論文雑誌「Humanities and Social Sciences Communications」に掲載)

2016 年 7 月よりクラブツーリズムと脳科学分野の世界的権威である東北大学加齢医学研究所が連携し、同研究所の「生涯健康脳」研究の一環として瀧靖之教授の指導のもと、医学的見地から調査・研究を行い、クラブツーリズムの 60 才前後の顧客 835 名を対象に実施したアンケート調査のデータを解析・研究した結果、知的好奇心のひとつであり、物事に対して、幅広く情報を求める性格特性の「拡散的好奇心」が旅行の動機となっていることが確認された。

旅行を通じ認知刺激を受けることで「拡散的好奇心」が満たされ、結果として「主観的幸福度」が高まるというメカニズムを解明した。また、旅行頻度が高まるほど「主観的幸福度」が高まる傾向にあることが分かった。先行研究において「主観的幸福度」は認知症リスクを低減させる効果があることが証明されていることから、旅行によって認知症リスクを低下させる効果がある可能性が示唆された。

ただし、好奇心のうち、情報の不調和を解消するために知識を深めようとする性格特性の「特殊的好奇心」と旅行動機の関連性は認められなかった。「拡散的好奇心」と「特殊的好奇心」の強弱は、個人の好奇心特性に起因するが、同じ人間でもライフステージなどの環境によって変化すると考えられている。また、個人の好奇心特性や暮らし向きなど生活状況の捉え方によっては旅行がストレスになる可能性も示唆された。

以上のことから、「暮らし向きが苦しい」と捉えているケースを除き、物事に幅広く関心を持つ性格の人にとっては、旅行に行く機会が増えるほど、認知症リスク低下が期待できることをこの共同研究で導き出された。

Photo by Christian Bowen on Unsplash

【お問い合わせ】

risvel facebook