トルコの代表的な装飾建造物にみられる伝統的装飾イズニックタイルとイズニック陶器
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[リスヴェル編集部]2020年08月19日公開

エリア:中東  > トルコ  > イズニク / ジャンル:アート・カルチャー・歴史・ミュージック , 

世界最古の手工芸のひとつと云われるトルコ伝承のタイル装飾『イズニックタイル』は、955年頃を起源とするカラハン時代の建築物にも施され、今日に至るまで千年以上もの長い歴史を誇る。独自の技法で粘土を形成し、様々なモチーフを描くイズニックタイルは15世紀初めに花開き、最も重要な手工芸としてトルコを代表する伝統美のひとつ。

ウイグル、アナトリア=ベイリク、セルジューク朝時代に誕生したトルコのタイル作りは、オスマン帝国時代になると建築装飾として最盛期を迎える。赤、ターコイズブルー、コバルトブルー、濃い紫、黒の5色が代表的なカラーだが、「釉薬がけ」をするしないに関わらず窯で焼成された後、用途に応じ独特のフォルムに加工される。イズニックタイルの色が何世紀にも亘り、あせることなく輝き続けるのは、素材として用いられている石英(せきえい)の特徴である、丈夫で明鮮やかで深みのある色合いに由来する。

イズニックタイルの最も初期の装飾建造物には「ブルサのイェシル・ジャーミィ(グリーンモスク)」や「ムラディエモスク」が代表的だが、オスマン帝国時代に建てられた「スレイマニエモスク」や「セリミエモスク」を彩るイズニックタイルは、その絵柄、色彩、技術において芸術と呼ぶに相応しく、一見の価値がある。イスタンブール周辺では、「トプカプ宮殿」の黒人宦官の間にある控えの間、中庭、宿舎、礼拝室なども釉がけしてから焼いた17世紀のイズニックタイルの装飾が施されており、また、イスタンブール考古学博物館群最古の建物としても有名な「装飾タイル博物館」にも装飾タイルや陶器等の展示品を観賞できる。

イズニック陶器』は、17世紀には建築装飾としてだけではなく、食器類やオイルランプにも使用されるようになり、その色彩、フォルム、モチーフ、技術、品質において素晴らしい傑作を残している。イズニック陶器の技法を伝える文献は残っていないが、その芸術は現代に至るまで脈々と受け継がれている。

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