沢木耕太郎の傑作ノンフィクション『天路の旅人』が第74回読売文学賞を受賞
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[リスヴェル編集部]2023年02月 7日公開

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2月1日に第74回読売文学賞受賞作が発表され、随筆・紀行賞を沢木耕太郎著『天路の旅人』が受賞した。『天路の旅人』は原稿用紙900枚超の大作で、掲載誌「新潮」8月号を完売させ、単行本発売前から大きな話題を呼んだノンフィクション。現在4刷7万部のヒット作品となった。

576ページと分厚い本にもかかわらず、「読み出したら止められない」「不思議なくらい『深夜特急』と重なり合うシーンが出てきて、思わずハッとする」「これほどまっすぐ「旅人」を描いた作品はないかも」など、沢木さんの9年ぶりの作品に興奮の感想も多数あがっている。

第二次大戦末期、敵国・中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した日本人・西川一三。敗戦後もラマ僧に扮し、果てしない旅を続けた彼に、激しく共鳴した沢木さんは、「この希有な旅人のことを、どうしても書きたい」と、25年の歳月をかけて結実させた、「旅」の真髄に迫る傑作ノンフィクション。

沢木さんは本書の「あとがき」にて、以下のように記している。

彼、西川一三の旅も長かったが、その彼を描こうとする私の旅も長かった。彼に会ったのを発端とし、書き上がったときを終結とすれば、発端から終結まで二十五年かかったことになる。
西川一三を書く。
しかし、その彼が自らの旅について記した『秘境西域八年の潜行』という書物がありながら、あえて彼の旅を描こうとするのはなぜなのか。
私は、何度も、そう自問した。
そして、やがて、こう思うようになった。私が描きたいのは、西川一三の旅そのものではなく、その旅をした西川一三という希有な旅人なのだ、と。

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沢木耕太郎(さわき・こうたろう)
1947年東京生れ。横浜国立大学卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。1979年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。その後も『深夜特急』『檀』など今も読み継がれる名作を発表し、2006年『凍』で講談社ノンフィクション賞、13年『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞する。長編小説『波の音が消えるまで』『春に散る』、国内旅エッセイ集『旅のつばくろ』『飛び立つ季節 旅のつばくろ』など著書多数。

『天路の旅人』
著 者: 沢木耕太郎
発売日: 2022年10月27日
判 型: 46判ハードカバー
定 価: 2640円(税込)
公式サイト:https://www.shinchosha.co.jp/book/327523/

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