世界有数の富める国ブルネイ、豊かさの根源は素朴な水上村に
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[リスヴェル編集部]2017年08月30日公開

エリア:アジア  > ブルネイ / ジャンル:観光情報・観光局・現地便り , 

世界有数の富豪といわれるブルネイ王室。豊かな石油資源に恵まれ、GNPは世界のトップクラス。王国の首都には金箔と大理石をふんだんに使った壮麗なモスクや宮殿が目を奪う。夜になるとそれらが艶やかにライトアップされ、ナイトライフが皆無(アルコール類は一切禁止)の人の気配のない街は、非現実的で幻想的ですらある。

そのブルネイ川には、ブルネイの発祥の地でもある、2万人余が住む活気あふれるアジア最大の水上村が広がる。陸の街からはボート・タクシーで約2分、50円ほどの運賃。生活水準が高いためか、観光客をぼる運転手もおらず、気軽に水上村ツアーをしてくれる。
水上村は、大半が古い木造建築で一見貧しく見えるが、電気や水道(WIFIも!)整い、学校や病院も複数あり、住民には快適らしい。陸に引っ越した人も、週末になるとのんびり寛げる、仲の良いコミュニティに迎えられる水上の家に戻ってくるとか。

水上でこそあるものの、住民にとって普通の暮しが営まれている村であるため、観光名所はない。ユニークな日常生活の風景を楽しみながら、道の代わりの細い木の橋をぷらぷら散歩する。随所に置かれた鉢植えの植物や軒先の鶏の群れが水上であることを忘れさせる。

川からの涼風が吹く夕暮れ、桟橋はお喋りに興じる住民達が並んで座っていた。対岸には、夕日に輝く豪奢な宮殿やモスクの黄金のスカインライン。政府の補助金でその対岸に引っ越せるにも関わらず、水上の村を選んだ人達。彼らの柔和で満ち足りた顔に囲まれ、ごく素朴な日常生活を選ぶことで育まれる豊かさを実感していた。

国際機関日本アセアン・センター
http://www.asean.or.jp/ja/tourism/trip/guide/brunei/guide.html


寄稿記事
ジャーナリスト
篠田香子

《篠田香子 プロフィール》
国際不動産投資を専門に取材する傍ら、世界各地で激減する旅の原風景を私的に綴る。香港記者クラブ所属、著書に「世界でさがす私の仕事」(講談社)など

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