中世より竜の住む場所として数々の伝説が語られ、19世紀には観光名所として広く知られていたスイスのピラトゥス山。古都ルツェルンの近くそびえるピラトゥス山は、英国のヴィクトリア女王やスペインのカルロス王など王侯貴族をはじめ、文人や芸術家など多くの有名人が訪れている。1859年に山頂の旅を楽しんだ音楽家リヒャルト・ワーグナーは眼下に広がる中央スイス地方の壮大なパノラマに圧倒されたと記した。そんな山頂からの美しい眺望は今も変わらず世界中の旅行客を楽しませている。

2016年ピラトゥス登山鉄道は開通127年目を迎える。麓のアルプナッハシュタート駅からアルプスの絶景が広がる山頂のピラトゥス・クルム駅へと結ぶ、普通鉄道では世界一急勾配の歯車式登山鉄道が人気。19世紀に技術者ロッハーがピラトゥス山頂へ鉄道を敷くという計画を発表した時は、多くの人が実現不可能と考えていたが、1889年のパリ万博に出展されたロッハー式という歯車を２つ噛み合わせた革新的なシステムの考案により、同年には総距離4618mの路線が開通した。

ピラトゥス登山鉄道は、積雪状況によって毎年運行開始日と終了日は変わるが、毎年5月初旬から11月中旬まで運行している。ちなみにピラトゥス山頂へはクリエンスからロープウェイで結ぶルートもあり、通年を通して運行している。（10月末〜11月中旬にメインテナンスのため運休あり）

ピラトゥス鉄道・ロープウェイのタイムテーブル
http://www.pilatus.ch/en/railway-cableways/timetable/