- 2024.10.07
氷河急行と呼ばれる「グレッシャー エクスプレス(Glacier Express)」は、スイスのサンモリッツとツェルマット間(約280km)を運行する有名な観光列車。スイスを代表する絶景が広がるアルプス地方を東から西に横断する山岳鉄道である。マッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)とレーティッシュ鉄道(RhB)というスイスの鉄道会社2社が、ツェルマットとサンモリッツの間で運行している。所要時間は 7 時間 30 分。平均時速は約34kmのため、「世界一遅い急行(特急)」とも呼ばれている。
グレッシャー エクスプレスの車窓からは絶景の連続。大きな展望窓のパノラマ車両に乗れば、雄大なスイスの景観を存分に堪能できる。ルートの中でも有名な橋が石造りのランドヴァッサー橋。この沿線は付近のアルブラ峠にちなんでアルブラ線と呼ばれる。その高さは65mで、ランドヴァッサー川が橋の眼下に流れている。2008年にルートの一部であるアルブラ線が周辺の景観と合わせて世界遺産に登録された。路線には、7つの谷、 91 のトンネ、と 291 の橋があり、オーバーアルプ峠で標高 2033m に達する。グレッシャー・エクスプレスは通年運行ではあるが、例年10月末から12月上旬まではメンテナンスのため運休となる。夏期は1日3~4往復、冬期は1日1往復。全席予約制。
グレッシャー・エクスプレスのルートの一部としても有名なブリーク=グレッチ間が開通して100年以上が過ぎている。1911年にはブリーク=グレッチ間の路線工事に着工。長さ46,27 kmの路線に約900人の作業員が従事し、約1087mの高低差を22の橋や高架橋、2つのループトンネル、3カ所のラックレール(歯車式レール)を駆使して克服した。そして1914年6月30日、ブリーク=グレッチ間が開通した。歴史的なこの路線が開通してから、昨年の2014年には100周年となる記念行事やスペシャル企画が行われた。
現在は、ツェルマットからディゼンティスまでマッターホルン・ゴッタルド鉄道が運営しているが、その前身となるブリーク=フルカ=ディゼンティス鉄道が最初に手がけた路線がこの区間だった。
旧ルートについては景観を惜しむ声が多かったことから、2000年から夏季に限りフルカ山岳蒸気鉄道(DFB)として復活運行が行われている。