- 2026.04.24
フランスのコートダジュールに続くリグリア海岸、アペニン山脈と地中海が鬩ぎあう絶景の立地にあるジェノバ。中世に海洋都市国家として栄えたジェノバは、コロンバスだけでなく、世界最古の銀行サン・ジョルジュ銀行がここに誕生した。そして、近世には英国人船員からサッカーが伝わり、イタリア最初のサッカー・チームとサッカー・スタジアムが建てられ、ジェノバ港の労働者のズボンがブルージーンズの走りとなった。
ジェノバにまつわる話題に加え、海運と貿易が生み出した富が多くの宮殿のような建物を残し、今日では42軒の館と豪壮な通りがユネスコ文化遺産となっている。また、周辺にはビーチ・リゾートが点在し、ケーブルカーでもいける緑豊かな山並みではハイキングが楽しめる。
だが、ジェノバは海外の観光客には余り知られていない。ミラノから列車で僅か1時間半、ジェノバで唯一のコロンバス像が建つ、プリンチペ駅(王宮に近いためプリンスという意味)に着く。コロンブス像の後ろ、薔薇色のファサードに包まれた「グランド・ホテル・サヴォイア・ジェノバ」へ向かった。
チェックイン後に案内されたのは、室内に艶やかなモザイク張りのバスタブが設けられたユニークな客室だった。浴槽に浸りながら、コロンバス像の佇むプリンチペ広場の賑わいを眺めるのも一興。1897年にイタリア初の温水浴室付き客室を設けたホテルとして、改装を重ねながらも今も浴室にこだわりがあるのだろう。
117の客室はどれもクラシック・エレガンスを基調したデザイン。秘密の部屋と称される隠し戸付きの和風タッチの客室も。バスローブのまま客室から行くことができるスパが地下にある。暖かな大理石の床、たっぷりした水量のジャクジー、ほのかな芳香が心地よい。秘伝のマッサージが旅の疲れを癒してくれる。
ベル・エポック調のロビー・ラウンジは、金箔の装飾がシャンデリアに輝き、磨き上げられた床にレトロな家具が居心地よく、夕方にはピアノの調べが流れる。リゾート風のレストラン‘アクアマリン‘で地中海料理もよし、隣接する姉妹ホテル「ホテル・コンチネンタル・ジェノバ」での庶民的な食堂でカジュアルな地元料理もよし。
夏は最上階のオープン・テラスのパノラマ・カフェで、朝日を浴びながらの遅い朝食がお勧めだ。もぎたてオレンジを絞ったジュースとスプマンテのカクテルと、熟したオリーブの風味と微妙な塩味のフォカッチャがよくあう。地中海からの風に、コロンバス像が見つめる遥かな水平線の向こう、壮大な海原への旅へ誘われていた。
Grand Hotel Savoia Genova, Curio Collection by Hilton
https://www.hilton.com/en/hotels/goasaqq-grand-hotel-savoia-genova/
Hotel Continental Genova
https://www.hotelcontinentalgenova.it/it/
キャプション
(1)活気にあふれた港と海を一望にするパノラマ・カフェ
(2)往年の雰囲気を残すラウンジとバー
(3)コロンブス像(左)とホテル・エントランス(右)
寄稿記事
ジャーナリスト 篠田香子
《篠田香子 プロフィール》
国際不動産開発を専門に取材する傍ら、世界各地で激減する旅の原風景を私的に綴る。東京とミラノが拠点。著書に「世界でさがす私の仕事」(講談社)など



