- 2024.10.08
古都ブルージュからおよそ50kmの距離に位置する北海沿岸の町オストダンケルクは、古来より馬を使った「エビ漁」が行われてきた。この漁法は700年に及ぶ歴史があり、現代まで受け継がれている。そして、2013年12月にユネスコの世界遺産会議で「世界無形文化遺産」に選定された。
エビ漁で捕れるのは、灰色の小エビ(crevettes grises、クレベット・グリス)で、オストダンケルクはこのエビの産地として特に知られている。水揚げされた時のエビの色は灰色だが、茹でると美しいサーモンピンクに変わる。伝統的なエビ漁が見られるのは4月から9月にかけてだが、漁期は通常3月中旬か4月上旬から6月末まで。夏は水温が高すぎるため、エビ漁は9月中旬から12月中旬までが本格的な漁の時期になるが、大きな引き綱をつけた馬たちが海に入って行く様子はオストダンケルクの風物詩になっている。
エビ漁は、馬に網と金属の板を付けて沖へと進んでいく。馬が歩き回るに連れ金属板が海底を引っ掻き、驚いて網に飛び込んだエビを捕まえる仕組み。かつてはベルギーだけでなく、フランスやイギリスでも行われていた漁法だが、漁の近代化が進み、現在ではオストダンケルクのわずかな家族だけがこの伝統漁法を守り続けている。
灰色エビは殻ごと茹でると濃厚なダシが出るため、名物のエビのコロッケやスープには欠かせない。灰色の小エビのコロッケはこの一帯の名物。オストダンケルクに来たら一度は食べたい。
伝統的な馬を使ったエビ漁の観光客向けのデモンストレーションは、4月から10月まで開催している。時間は45分間。詳細の日時は公式サイトで確認できる。
https://www.navigomuseum.be/en/when-do-horseback-fishers-go-out-sea
世界無形文化遺産エビ漁の様子 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=HRXitz1tUwA