- 2025.07.29
スペイン、バルセロナにあるアントニ・ガウディが手がけた建築物のひとつ「カサ・バトリョ」が、ガウディが手がけた裏側ファサードとプライベート・パティオの修復を完了し、消失していた装飾や構造も含め、100年以上前の姿が精緻に甦った。カサ・バトリョは2005年に世界遺産に登録されている。
バルセロナ、アシャンプラのグラシア通り43番地に位置するカサ・バトリョは、1877年に建設された建物である。1904年から1906年にかけてガウディはこの邸宅の改築を行った。2025年6月19日、ガウディが1906年に設計した裏側ファサードおよびプライベート・パティオの修復を完了し、100年以上ぶりにその本来の姿を一般公開された。この大規模な修復プロジェクトには、総額350万ユーロ(約5.5億円)が投じられ、約1年の歳月をかけて、木工・ガラス・鍛鉄・陶器・漆喰など、あらゆる素材が精巧に再生された。
裏側ファサード:
今回の修復によって、これまで目立たなかった裏側ファサードが本来の色彩とディテールが蘇り、木製の窓枠、アイアン製の手すり、トレンカディス(破砕モザイク)などの装飾が当時の姿そのままに復元された。また、修復の過程で発見されたのが、バルコニーを支える「螺旋状の鉄骨入りアーチ構造」。これは当時としては革新的な技術で、ガウディの建築思想の先進性を裏づける貴重な発見となった。
プライベート・パティオ:
パティオは、かつてバトリョ家の食堂横に設けられた家族の憩いの場。修復では、消失していた藤棚(パラボラ形のぺルゴラ)や植木鉢(ジャルディネラ)を資料と3Dスキャンに基づいて精巧に再現。さらに、85,000枚を超えるノリャ製モザイクタイルの床面も当時のままに復元されている。壁面の漆喰やトレンカディス、鉄製の門扉なども丁寧に修復され、ガウディの自然観と詩的世界観が息づく空間が甦った。
このプロジェクトは、2025年にカサ・バトリョがユネスコ世界遺産登録20周年の節目に当たることから、カサ・バトリョの文化的価値をさらに高める象徴的な取り組みとなった。修復の様子は映像コンテンツとしても記録され、SNSやYouTubeを通じて広く共有されている。
修復特設ページ(写真・解説動画あり):https://www.casabatllo.es/restauracion/
修復映像プレイリスト(YouTube):
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQH3zM7lWc8BWGG9ecZrNnU_SJZXN0Dm4
カサ・バトリョ公式サイト(日本語)
https://www.casabatllo.es/ja/