- 2025.03.25
パタヤはもう終わっている、再開発で綺麗なったプーケットがいい…と皆に言われながら、タイでの3週間ほどのロングステイは、まずはパタヤからに。米軍がベトナム戦兵士らの慰安のために開いたリゾートは、豊かになったタイの中所得層の別荘地とロシア人の逃避地に様変わりしていた。
歓楽街では格段に大柄になったあけっぴろげな女の子達が、白人男性らをからかっていた。変わらないのは安宿や小さな店が犇めくビーチ・フロントを走る車道で、このため今もパタヤのホテルの大半はビーチと隔てられていた。が、この道路が内陸に曲がった先に、浜辺に建つ「デュシタニ パタヤ」があった。大小二つのビーチに直接面し、広大な庭園に囲まれているため、町の喧噪は聞こえてこない。パタヤに数少ない正真正銘のビーチ・フロント・ホテルだが、浜を数分も歩けば、賑わう街並みに出る。
町の活気と隣あったオアシスのようなリゾートライフを楽しんでから、小島などに寄り、首都バンコクを経てタイ湾西岸を南下、ホア・ヒンへ。タイ王族がこぞって別荘を建てロイヤル・コーストとも呼ばれ、パタヤとは全く違う落ち着いた雰囲気だ。
何キロにも渡って続く白浜に、ゆったりとラグシャリーホテルが点在する。その中でもデュシタニ ホアヒンは緑豊かな広大な敷地に建つ。白浜と海を臨む二つの大きなプール。浜辺には騒音を出す遊具などは一切なく、ゆったりとしたソファが置かれていた。
潮騒を聴きながら一日を過ごす心身の寛ぎ。
また、ホテルの裏手にはココヤシの林と農園や水田があり、鶏や山羊、水牛などが放し飼いになっていた。子羊に纏わりつかれながら、朝食用に新鮮な野菜と卵を入手した。ビーチ・リゾートで田園ライフも楽しめるとは…。
夕日を望むデュシタニ パタヤで始まり、朝日が昇るデュシタニ ホアヒンで終わったロングステイ。その心地良いホスピタリティにどっぷりと浸り、微笑みの国の奥に垣間覗く闇に触れることのないまま…それを少し物足りないと思いながら、頭を煩わせることのない安らぎに心身はすっかり充足していた。
写真
1)岬状のランドスケープにあるデュシタニ パタヤのプール
2)ゆったりと丸一日でも寛げるビーチ・サイド
3)延々と続く白浜を独り占めするようなデュシタニ パタヤ
寄稿記事
ジャーナリスト 篠田香子
《篠田香子 プロフィール》
国際不動産投資を専門に取材する傍ら、世界各地で激減する旅の原風景を私的に綴る。香港記者クラブ所属、著書に「世界でさがす私の仕事」(講談社)など
ハイクオリティ・ライフスタイル誌「ナイルス ナイル(Nile’s NILE)」の公式ウェブサイト「Nileport」の篠田さんの記事「にぎわいリゾートに、白浜と庭園の隠れオアシス」も合わせて読んでみてはいかがだろう。