オーストリアのカーニバル季節の「揚げパン」
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2024年01月23日公開

エリア:ヨーロッパ  > オーストリア / ジャンル:グルメ・スイーツ , 

オーストリアを含めたヨーロッパのカーニバル(謝肉祭)も四旬節に入る灰の水曜日(2024年は2月14日)の前日に終わり、イースター(復活祭)までの46日間から日曜日を除いた40日間、イエス・キリストの受難と死を黙想し、心の準備をする期間となっている。四旬節は40日の期間という意味で、40という数は、イエス・キリストが荒れ野で40日間断食をしたことに由来し、それにならい40日の断食という習慣が生まれた。

カーニバルは、断食の前、すなわち四旬節前にお肉を食べて楽しく宴を催すことで、現代では四旬節で断食する人も少なくなり、仮装したパレードなどのイベント的要素が強くなっている。そんなオーストリアのカーニバルの季節に、どのパン屋や菓子店にも「揚げパン(ドイツ語でファッシング・クラプフェン)」が並び、揚げパンの中にアンズジャムがたっぷり入ってとても美味しい。ちなみにクラプフェンはカーニバルの時期に有名だが一年中食べられる。

揚げパン(クラプフェン)の起源
揚げパンを意味するドイツ語のクラプフェンの語源はカール大帝時代の「クラフォ」と呼ばれるパンケーキに由来すると言う人もいれば、丸い形の発酵ケーキを生み出した古いウィーンの帝国評議会のパティシエ、ツェツィーリエ・クラフの名前だと言う人もいる。1815年のウィーン会議では、公式のレセプションや舞踏会で約1,000万個の甘い揚げパンがウィーンで食べられるほど人気だった。

一つのお菓子にたくさんの名称
オーストリアではどこでも「クラプフェン」と言えばすぐわかるが、ドイツのベルリンでは「プファンクーヘン」と言う。ライン川地域でこの用語は「クレッペル」と言い、ドイツの他の地域では「ベルリーナー」と呼ばれる。

なぜカーニバルの時期に食べるか?
揚げパンを食べる習慣は中世にまでさかのぼる。教会は、断食の季節である四旬節前の期間に揚げパンのような高カロリーの甘いものを食べることを良しとしていた。クラプフェンは発酵した生地を油で揚げた料理で、オーストリアの言い方をすれば「フェット」、文字通り「油脂」で作られた料理。栄養があり、安価な食材で作られるということから人々にとって手頃な食べ物だった。

ファッシング・クラプフェンに関する出典:オーストリア政府観光局

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