余暇を意味する「バカンス」はイタリア語で「Vacanza（ヴァカンツァ）」。語源はラテン語で「からっぽ」の意味がある。仕事を忘れ、とにかく何もしないということを実践するイタリアのヴァカンツァ・シーズンが本番を迎える時期がやってきた。ヴァカンツァには各都市で夏のイベントが数多く開催される。イタリア中東部、アドリア海に面するマルケ州の都市フェルモ（Fermo）で重要なイベントがある。

マルケ州は、イタリア・ルネサンス時に花開いた芸術文化遺産や海と山の幸に恵まれた豊かな食文化など見どころが多いのだが、中でもフェルモは、紀元前10世紀以前の古代エトルリアまで遡る歴史深い街で、人口は4万人弱の美しい砂浜の海岸が魅力である。ローマ時代以前に文明を持ったピチェーニ族の都市として栄えた後、紀元前3世紀にローマの支配下に入り、その時代に建造された城壁と塔が今もまだ部分的に残っている。

フェルモで年間を通じてもっとも重要なイベントが、毎年8月15日に開催される「聖マリア・アスンタの饗宴」というイベント。午前中は住民が聖ミサの祭典に出席し、午後は当時の貴族や騎士の衣装を纏った人々によるパレード、さらには競馬祭「パリオ」も開催される。夜には街中に大きなテーブルが用意され、賑やかな食事会が催される。

フェルモの街の中心は、ルネッサンス時代に築かれたポポロ広場。細長い長方形のこの広場は丘の頂上近くに位置し、北側には16世紀に建造され、現在は博物館が併設するデイ・プリオーリ宮や図書館、東西にはポルティコ（アーケード）が連なる商店、南側には市庁舎が立ち並ぶ。

フェルモにも数多くの歴史深い観光スポットがあり、18世紀に建造された絢爛豪華なアクイラ劇場、1227年に作られたとされるロマネスク・ゴシック様式のファサードが見事に残されているフェルモ大聖堂、ジュリアーノ・ダ・リミニによるフレスコ画が残っているサン・フランチェスコ教会などがある。

マルケ州の観光ウェブサイト（英語）
https://www.turismo.marche.it/en-us/

Photo1:フェルモのポポロ広場©Regione Marche

Photo 2: Fermo, Panorama con i Monti Sibillini ©︎ Daniele Pieroni
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