- 2024.12.12
香港は、東京、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、上海などと並ぶ世界都市のひとつとして、日本人観光客も多く訪れる都市だが、豊かな自然があることをあまり知られていない。新界(New Territories)北東部の海岸近く、フェリーで90分の距離にある、緑豊かな「風水林」とマングローブの森に囲まれた歴史ある客家(ハッカ)の村「荔枝窩(ライ・チー・ウォ)」もそのひとつである。
かつて繁栄していた裕福な客家人の村ライチーウォは、3世紀以上前に建てられた。ジオマンシーのルールに従って正確に縦横に並べられ、素朴な壁に守られた200軒以上の家には1,000人以上の住民が住んでいたが、1960 年代から人口が激減。しかし、香港ユネスコ世界ジオパークの一部として再生し、農家では米や野菜の栽培や牛の放牧が再開され、古い家屋はショップやビジターセンターに生まれ変わった。週末や祝日には、村の商店や屋台でソルティチキンや豚の角煮、保存された大根を使ったオムレツ、餃子や鶏のお粥など、さまざまな客家の食べ物や料理が売られている。また、この村は文化遺産の保護を推進したことで、ユネスコの権威ある「2020 Special Recognition for Sustainable Development award(2020年 持続可能な開発が評価される特別表彰)」を受けた。
この村の伝統的な客家住宅の前面には、「風水林」と呼ばれる森が広がっている。村人たちは、自然と調和した生活をする風水の哲学に基づき、幸運と富をもたらすことを願ってこの木を植えた。穏やかな三日月形の森には、幹の中央に無数の穴が開いている樹齢100年の空洞になっているモミジバフウや、巨大な五指樟樹、絞め殺しの木など、100種類以上の植物が自生している。また、村の周辺には、推定112種の淡水昆虫が生息しており、絶滅危惧種のシマアオジや希少種であるシロスソビキアゲハなど、さまざまな鳥類、蝶、トンボ、爬虫類の重要な生息地となっている場所があり、白花魚藤木歩道も設置されている。
村から続く小川に沿って進むと、香港で最も大きく、生物学的多様性に富んだ淡水の湿地帯がある。このエリアでは、高さ15メートルのコースタル・ヘリティエラ・マングローブ(サキシマスオウノキ)など、香港に自生する8種類のマングローブがすべて見られる。湿地の干潟には、コアマモや海産種子植物ウミヒルモなどの海草が生息し、これらの海草は魚の稚魚やカニやエビの幼生など、沿岸に生息する幼い生物の貴重な餌場や避難場所となっている。
荔枝窩(ライ・チー・ウォ)への行き方や詳細は、香港政府観光局の公式サイトで確認!
https://www.discoverhongkong.com/jp/explore/great-outdoor/wellness/lai-chi-wo.html