【編集部推薦映画】アルジェリア“暗黒の10年”を舞台に描く、少女たちの不屈の勇姿の物語
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2020年10月26日公開

エリア:アフリカ  > アルジェリア / ジャンル:サービス・商品情報 , 

アルジェリアの“暗黒の10年”を舞台に描く、真実から生まれた希望の物語『パピチャ 未来へのランウェイ』が10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開される。

先ずお伝えしたいのは、この映画は、物語の舞台であるアルジェリアに17歳まで暮らし、この映画が長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥール自身の経験から生まれた物語である。暗黒の10年を舞台に、イスラム主義による女性弾圧の真実を、ファッションデザイナーを夢見る少女の視点で瑞々しく描ききっていく。タイトルの“パピチャ”とは、アルジェリアのスラング(俗語)で「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」という意味。映画の中でも管理人の男性が主人公を名前ではなくパピチャと呼んでいる。

次に、想像しがたい抑圧の中でも少女たちの姿がとても美しいということだ。この映画は、1990年代の暗黒の10年のアルジェリア内戦下で暮らす人々がどのような脅威にさらされていたかを、アルジェのある女子学生の寮生活を題材に、若い女性の視点から描いた作品であるが、彼女たちの素晴らしい演技に誘われ、心が揺さぶられる傑作である。

〈STORY〉
1990年代、北アフリカのアルジェリア。ファッションデザインに夢中な大学生のネジュマはナイトクラブで自作のドレスを販売している。夢は世界中の女性の服を作るデザイナーになること。だが武装した過激派のイスラム主義勢力の台頭によりテロが頻発する首都アルジェでは、ヒジャブの着用を強制するポスターが至る所に貼られるように。従うことを拒むネジュマはある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来のため、命がけでファッションショーを行うことを決意する―。

最後に、この映画の鑑賞者のひとりとして向き合う必要のあるデータがある。世界経済フォーラムが2019年12月に公表した、153か国における男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」である。この指数は、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示す。2020年の日本の総合スコアは0.652で順位は121位で、アルジェリアは132位であった。

アルジェリアはフランス植民地からの独立後、イスラム主義の台頭を経て社会構造に組み込まれた弾圧はいまだ存在しているのか、本作の本国公開も見込みは立っていない。真の自由を求め、少女たちの戦い、今この瞬間もまだ続いている。

『パピチャ 未来へのランウェイ』 (2019年) 109分
公 開: 2020年10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか
原 題: PAPICHA
監 督: ムニア・メドゥール
出 演: リナ・クードリ、シリン・ブティラ、アミラ・イルダ・ドゥアウダ、ザーラ・ドゥモンディ
配 給: クロックワークス
公式サイト: https://papicha-movie.com/


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