- 2025.04.30
ドイツのロマンチック街道沿いにある中世の城塞都市ネルトリンゲンの町には、市の職員の待遇を得て、給料に代わる食事と寝床が保証されている三毛猫「ヴェンデルシュタイン」が暮らしており、ちょっとした町の人気者。2015年3月までリスヴェル編集部でもその様子を様々な情報網から追っかけているが、ネルトリンゲン市の公式サイトにまだ掲載されているので、三毛猫も元気でいるのであろう。早く取材に行かなくては!
ネルトリンゲン市掲載情報
http://www.noerdlingen.de/Service/Presse-Mitteilungen-Artikel/Wendelstein-Katze
ドイツで三毛猫は“縁起が良い”とされている。聖ゲオルク教会の高さ90メートルの「ダニエル」と呼ばれる教会塔に、その三毛猫が現れたのが2010年初旬。それ以来、彼女は350段の塔の階段を毎日上り下りするようになり、いつの間にか塔で暮らし始めた。そして彼女は、ここで働くスタッフの仲間になっていった。
三毛猫は塔の旧名である「ヴェルデンシュタイン」という立派な名前が付けられた。彼女は塔を訪れる観光客のもてなし役として、また時にはネズミやハトを退散させ、ネルトリゲンの最も人気のある重要な文化遺産を守り、清潔に保つ重要な任務を担っていることから、市役所は正式に塔の管理予算からヴェルデンシュタインに250〜300ユーロを割り当てることに決定し、公的な地位と給料を得られるようになった。
ベルデルシュタインは観光客に愛嬌をふりまくチャーミングな猫で、外国人観光客のグループが塔の階段を上り下りするのを何度も引率し、旧市街の観光が終わるまで見守っている。ネルトリゲンの地元住民はもちろん、猫好きの旅行者が塔や町の風景のためだけではなく、ヴェンデルシュタインを一目見ようと訪れるようになり、地元メディアで取り上げられるなど、ますます有名になっている。
日本のアニメ「進撃の巨人」を思い起こす城壁に囲まれている町ネルトリンゲンは、
ドイツのバイエルン州の大規模郡都市。1215年に皇帝フリードリヒ2世から都市権を与えられ、帝国自由都市となり最初の市壁が築かれた。ほぼ完全に保存されている1327年に建造された市壁は5つの楼門と11の塔、2つの堡塁を有している。市壁の内側の通路も完全に保存されており、歩いて通ることができる。ネルトリンゲン旧市街全域には、中世やルネサンスの時代から愛情込めて手入れされた豪華な建物が豊富に遺されている。
ヴェンデルシュタインが働いているダニエル教会塔からも中世の趣きを持つ旧市街を望むことができる。『夢のチョコレート工場』(1970年)や『Bibi Blocksberg』(2002年アニメ)の映画ロケ地に使われたほか、日本のアニメシリーズ『プリンセスチュチュ』の舞台である架空の街「金冠町」はネルトリンゲンがモデルで、聖ゲオルク教会、旧穀物市場、レプジンガー門、戦争の泉、クレステルレあるいは市庁舎の道化の肖像といったネルトリンゲンの建物がオリジナルに忠実に描かれている。
情報提供:ドイツ観光局