- 2025.06.17
地中海の南仏、紺碧海岸「コート・ダジュール」は夏の来るのが早く、ニースのビーチは既に賑わいを見せている。18世紀後半にイギリスの富裕層の避寒地として知られたニースは、今では世界有数の夏のビーチ・リゾートになった。
初期に造られた、ビーチ沿いのプロムナード・デ・アングレス(イギリス人の散歩道)は、今では7㎞に延長され、四季を通して人通りが絶えない。パームツリーがそよぎ、四季の花が彩り、瀟洒なカフェなどが点在する華やかな散歩道だ。
そのプロムナードを臨む絶好の立地に昨年12月に開業したのが「メゾン・アルバ―・ル・ヴィクトリア(Maison Albar – Le Victoria)」である。フランスを中心にホテルを持つアルバー一族による5軒目のラグジュアリーホテル。プレ・アルプスの山並みを背景に、海に面したリビエラ風の壮麗な建物だ。通りに面して洗練されたブティックが並び、さりげないエントランスから緩やかならせん階段が2階のロビーへと続き、レジデンスのような落ち着いた雰囲気に迎えられる。
アイボリー・トーンに地中海ブルーが鮮やかなコンテンポラリーなインテリア。スイート30室を含む全132室からは、地中海か緑豊かな山麓が望める。最上階にあるミシュラン・シェフが腕を振るうレストランでは、360度の山海の展望が待ち受ける。シーフードを想像しがちだが、ニースは肥沃な土壌にも恵まれ、野菜や肉類、乳製品などの名産地でもある。地元の旬の食材が風味豊かなソースで一段とひきたつ。ロマンチックなディナーはもちろん、朝食は新鮮なチーズやヨーグルト、柑橘類はじめ様々なフルーツが堪能できる。
秋のグルメ旅行者には、設備の整ったスパが人気だ。フランスの誇る多様なエステが受けられるともに、温水ジャクジーで寛げる。夏のハイライトは、レストランの屋外のテラスに続く、海と一体化したようなプールだ。プール・サイドで夏本場のニース風サラダをつまみながら、冷えた白ワインで寛ぐ。咲き誇る花々の香をはらんだ地中海の風、まだ優しい太陽の輝き。初夏のコート・ダジュールのリゾートでの贅沢が五感を通して心身を癒してくれる。
●Maison Albar – Le Victoria、Member of Preferred Hotels & Resorts
https://preferredhotels.com/hotels/france/maison-albar-le-victoria
写真
1. プレ・アルプスを背景にしたメゾン・アルバ―・ル・ヴィクトリア
2. 海辺のプロムナード続くニース
3. 地中海を一望にするプール
寄稿記事
ジャーナリスト 篠田香子
《篠田香子 プロフィール》
国際不動産開発を専門に取材する傍ら、世界各地で激減する旅の原風景を私的に綴る。東京とミラノが拠点。著書に「世界でさがす私の仕事」(講談社)など