石灰の白が結ぶ4つの街 イタリア・バジリカータ州の「白い街」を歩く
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2026年05月 9日公開

エリア:ヨーロッパ  > イタリア / ジャンル:名所旧跡・観光施設 , 

イタリア南部バジリカータ州に点在する「白い街」と呼ばれる、ピスティッチ、マテーラ、ヴェノーサ、イルシーナの4都市を紹介する。古代名ルカニアとも呼ばれるこの州では、石灰を外壁に塗る習慣が何世紀にもわたり受け継がれてきた。湿気対策、狭い路地での光の反射、疫病後の消毒といった実用的な必要性から始まったこの慣習が、やがてこの地方の都市景観そのものを形づくってきた。

ピスティッチ(Pisticci)
バセント渓谷を見下ろす尾根に広がるピスティッチの歴史的中心地、ディルポ地区は、1688年の大規模な地滑り「サンタポロニアの夜」後の再建によって現在の姿を持つ。傾斜した屋根と赤い瓦を持つ白い家々「カセッデ」が耐力壁を共有しながら連なり、メタポント平原とイオニア海を見渡す連続した都市構造を形成している。周辺には紀元前6世紀後半のドーリア式神殿遺跡「ターヴォレ・パラティーネ」があるメタポントなど、重要な考古学遺跡も点在する。

マテーラ(Matera)
マテーラ旧市街地区には、1993年にユネスコ世界遺産に登録された石灰岩を掘り込んで造られた洞窟住居「サッシ」が街の象徴的な景観をなしている。家屋、洞窟、貯水槽、階段状の地形が一体となった建築群に加え、13世紀のチヴィタの大聖堂、多数の岩窟教会、ドメニコ・リドラ国立博物館などが市内に残る。ムルジャ・マテラーナ公園からは、夕暮れ時に暖かな色合いに染まるサッシの全景を望むことができる。

ヴェノーサ(Venosa)
ラテン詩人ホラティウスの生誕地として知られるヴェノーサは、ローマ時代の植民地に起源を持つ。中世の路地や彫刻のある扉口、ヴルトゥレ高原の光を反射して輝くファサードの建物が残り、サンティッシマ・トリニタ修道院の複合建築には屋根のない「未完成の大聖堂」がある。南イタリアにおける中世建築の代表例の一つとされる。国立考古学博物館を擁するアラゴン城や、岩地に掘られたユダヤ人のカタコンベ(地下墓地)も見どころに挙げられる。

イルシーナ(Irsina)
マテーラのムルジャ地方を見渡す台地に位置するイルシーナでは、白い漆喰のファサードと石壁が交互に配置され、柔らかな明るさを醸し出している。路地の先には、アンドレア・マンテーニャ作と考えられる聖エウフェミアの彫刻を所蔵するサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂がある。1950年代の土地改革時に誕生し、現在はほとんど無人の農業集落のボルゴ・タッコーネも市内に残る。

歴史的背景も地形も異なるこの4つの都市を結ぶのが、石灰の白という共通の要素であり、何世紀もの日常から生まれた習慣が、ルカニア建築の固有の特徴として今も都市景観に息づいている。

【参考情報】イタリア政府観光局(ENIT SPA)ニュースレター
バジリカータ州観光局公式サイト:https://www.basilicataturistica.it/ja
イタリア観光省公式サイト(英語):https://www.italia.it/en/basilicata

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