時を超えた香港の玉手箱「マンダリン オリエンタル 香港」
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2025年10月20日公開

エリア:アジア  > 香港 / ジャンル:ホテル・宿泊施設 , 

日々変貌を遂げる香港、その心臓部ともいえる中環(セントラル)。街の賑わいは変わらないが、佇むコロニアル建築と2階建てのレトロなトラムが、往年の風情に誘う。その中に60年間変わることのない存在感を放ってきたのが「マンダリン オリエンタル 香港」だ。

香港の地政に深く関わった英国のジャーディン・マセソン社跡地に、当時としては香港島最高の27階建てとして完成した。現在、世界43軒の最高級ホテルを運営するマンダリン オリエンタル ホテル グループの発祥の地である。中国銀行や香港上海銀行などの超高層ビルに囲まれながらも、昔のファサードのままの風格を保っている。一歩中に入ると、町の喧騒とは無縁の、変わることのない落ち着いた空間に迎えられる。

外観は変わらないが、東西グルメが満喫できる飲食部門は8軒にも増えた。カフェ、バー、レストランはどこも地元と旅行者に人気で予約は必須。25階にある繊細な風味を凝縮した広東料理「マンワー(文華)」は、ミシュラン星に輝く名店である。その隣には深夜にクラブに変身する粋なバー「ジ オーブリー」。アフタヌーンティーの名所のメインラウンジ「クリッパー ラウンジ」…などなど。

美食三昧の合間には、アジア随一と謳われる施術を誇る優雅なスパでゆったりと過ごせる。432室の客室でも贅沢な寛ぎが約束されているが、62室のスイートの中には絶景バスも。飲物と軽食が自由に楽しめるマンダリン・クラブも終日利用できる。

その形もさながら、玉手箱のようなホテルにぎっしり詰まった香港ならではの楽しみ。そして、時間を超えた安らかな居心地。かつてこの地に生まれたことで名付けられた自分の名前を顧みるのだが、もう今は香港とは縁遠くなってしまった。だが、ここを訪れるたびに、少しだけ香港のドラマに身を置いたような気分になれる。

マンダリン オリエンタル 香港
5 Connaught Road Central, Hong Kong
+852 2522 0111
https://www.mandarinoriental.com/ja/hong-kong/victoria-harbour


写真・キャプション
1.隣にドーム屋根のコロニアル建築最高裁判所と緑地
2.ビクトリア湾を望む「マンワー(文華)」、優雅なセッティングで珠玉のような広東料理を
3.スイート客室の浴室。ビクトリア湾越しに九龍半島を眺めて入浴を

寄稿記事
ジャーナリスト 篠田香子


《篠田香子 プロフィール》
国際不動産開発を専門に取材する傍ら、世界各地で激減する旅の原風景を私的に綴る。東京とミラノが拠点。著書に「世界でさがす私の仕事」(講談社)など

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