- 2025.07.03
アメリカ合衆国は、2026年7月4日に建国250周年という大きな節目を迎える。「United States Semiquincentennial(セミクインセンテニアル)」と呼ばれるこの記念事業は、全米を挙げた一大国家プロジェクトであり、すでにその準備は本格的に始まっている。政府機関、民間企業、地域コミュニティ、教育機関などが一体となり、歴史を見つめ未来を語る多彩なプログラムが展開される予定だ。
正式なキックオフイベントは、建国記念日のちょうど1年前にあたる2025年7月3日にアイオワ州デモインで開催される「Salute to America」セレモニー。ここから全国的なカウントダウンが始まり、1年間にわたる祝賀の機運が高まっていく。
この250周年記念事業「America250」(https://america250.org)は単なる祝賀ではない。全米の子どもたちを対象とした作文・作品コンテスト「America’s Field Trip」では、優秀な参加者に対して国立公園や歴史的遺産を訪れる特別体験が用意される。また、「Our American Story」や「America Gives」といった市民参加型の社会貢献キャンペーンも展開される。国民一人ひとりがこの節目を自らの物語として実感できる仕掛けが随所に組み込まれている。
さらに、シカゴ交響楽団による記念演奏会「America 250: A Musical Journey」など、芸術文化を軸としたイベントも計画されている。アメリカ音楽の伝統と革新を象徴するこのシリーズでは、ガーシュウィンやコープランド、ジョン・ウィリアムズらの名作が披露される予定。
この祝祭は、アメリカ独立の原点であるフィラデルフィアで最高潮を迎える。2026年7月4日には、全国から寄せられた品々によるタイムカプセルが収められ、未来へのメッセージとして次の世代へと受け継がれるフィナーレと続く。「America250」は、過去を讃えると同時に、未来に向けた希望と責任を再確認する機会でもある。建国から二世紀半を経たアメリカが、分断や課題を抱えながらも、どのように自らのアイデンティティを再定義しようとしているのか。その姿勢は、民主主義の在り方を世界に問い直す契機となるだろうか。
このプロジェクトの全体を統括するのは、連邦議会が設立した「米国セミクインセンテニアル委員会」。同委員会の実行部門として活動する非営利組織「America250 Foundation」は、コカ・コーラやウォルマート、Amazonなど大手企業の協力を得て、国民的規模での展開を進めている。また、国立公園局との連携により、首都ワシントンD.C.では2025年夏から2026年末にかけて、建国250周年に関連する行事を優先的に許可する仕組みも導入された。https://washington.org/visit-dc/ways-celebrate-independence-day-washington-dc
「アメリカ250」 (America250)
https://america250.org
アメリカ合衆国の公式観光促進団体であるブランドUSAでは、建国250周年を象徴する物語や、訪れるべき場所・体験の数々を世界中の旅行者に向けて紹介する各種コンテンツを提供。https://americathebeautiful.com/ja/America-250/