- 2025.01.17
2024年12月2日、ユネスコ本部で創設された建築賞の「世界で最も美しい美術館」7施設にノミネートされていた「下瀬美術館」(広島県大竹市)は、10周年を迎える2024年に新たに設けられた「Museums」(美術館・博物館)のカテゴリーにおいて、最優秀賞のベルサイユ賞を受賞した。
ベルサイユ賞は、2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の本部で創設された建築賞で、世界中の空港、商業施設、ホテル、スポーツ施設など8つのカテゴリーを対象に著名な建築家や哲学者らの審査によって選出される世界的建築賞。各部門でノミネートされた中から3施設に対して、最優秀のベルサイユ賞、内装特別賞、外装特別賞の3つの賞が授与される。
世界ベルサイユ賞機構の事務総長は、「下瀬美術館のプロジェクトは多くのものを表現していると思います。例えば、色使いが非常に興味深く、とても珍しいと言えます。博物館ではこのようなカラフルなデザインはあまり見られません。またこのプロジェクトは「軽やかさ」をも同時に表現しています。外部と内部の融合が見事で、これが審査員に大きな感銘を与えたのだと思います。下瀬美術館のプロジェクトには審査員全員が賛同したようです。ただし、これは私の印象であり、私は審査員ではないので、彼らの考えを推測してお話ししています。」とコメントしている。
また、下瀬美術館を設計した建築家の坂 茂氏は、「下瀬美術館は瀬戸内海に面した約400メートル幅の美術館で、環境を最大限にいかしました。水に浮いて動くギャラリーや木造の建築など色々なイノベーティブなものが評価されたと考えています。自由に設計させていただいた初めてのチャンスで、下瀬ゆみ子館長をはじめ多くの関係者の皆様に感謝しております。」とコメントした。
下瀬美術館(Simose Art Museum)は、2023年3月に広島県大竹市にオープン。世界で活躍する日本人建築家・坂茂氏が設計。コンセプトは「アートの中でアートを観る。」。施設を象徴する水盤に並ぶカラフルなキューブ型の「可動展示室」は、坂氏がせとうちの島々から着想し、水の浮力によって動かし配置パターンの変更が可能な世界でも類のない展示空間。展示作品の鑑賞とともに、季節の草花が風にそよぐ「エミール・ガレの庭」や、瀬戸内の多島美を望める展望エリア「望洋テラス」の散策も楽しめ、建築とアートを堪能できる。
下瀬美術館
住 所:広島県大竹市晴海2丁目10-50
開 館:午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館:毎週月曜日(祝休日の場合は開館)・年末年始・展示替え期間
観覧料:一般(1800円)・高大生(900円) 中学生以下は無料
ホームページ:https://simose-museum.jp/
ベルサイユ賞ホームページ
https://www.prix-versailles.com/2024