- 2016.12.06
ホテリエが建物と敷地の大型修復に乗り出す時は、当然ながらそこにはなにか大きな価値があることが条件。トルコの「アルゴス・イン・カッパドキア(Argos InCappadocia)」は、一見しただけで、これがなにか特別な発掘であることを感じさせるホテルです。「受付カウンターのある古代集落」という、ちょっとユーモアさえ感じるキャッチフレーズを掲げたアルゴスですが、トルコで最も、いえ、世界でも屈指の、“高級洞窟ホテル”と呼ぶべきこのホテルは実際、複数の考古学者、石工、建築士やデザイナーが一丸となって修復に携わってきたスケールの大きなプロジェクト。柔らかな火山地に掘り込まれた中世複合修道院の、崩れかけのチャペルや地下通路、家屋といった建物を、考古学的な価値を損なうことないまま、控えめなリュクス感を漂わせる客室全42室のホテルへと変身させたのです。
もともとトルコの通信・不動産事業家だった同ホテルのオーナー、ギョクシン・イリカリ(Gökşin Ilıcalı)氏は、1996年にここウチヒサールの村を下見に訪れた際、一瞬にしてこの土地を気に入ったのだそう。「当初は中型デザインホテルを考えていたのですが、あれよあれよという間にかなり大型の都市変形企画になってしまいましたね」と当時を振り返るイリカリ氏。「道路下に修道院の跡地を見つけたり、村のゴミ収集エリアの地面下に地下トンネルを発見したことで、方向性を変えることになったんです。ここまで地理的にも素晴らしく荘厳な建築が並ぶ環境の中で、古いコテージがゴミ捨て場になっていたりするのを見つけると、冷たい雨の中で震えている子猫の姿を目にするのに似ているというか、なんとかして守り保護してあげなくては、と思わずにはいられないんですよ」
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