オーストリアの山岳地域では、天候にも左右されるが、9月から10月にかけて、アルプス地方の山に放牧していた牛と共に牛飼いたちが続々と山を下りてくる。牛だけではなく、羊や馬などの家畜がアルプスの高原の放牧地で夏を無事過ごすことができたことに対し、酪農家が感謝する祭り「アルムアップトリープ（Almabtrieb）」が行われる。

アルムアップトリープは、秋の訪れと共に山に雪が降る前に放牧していた牛や羊を村の家畜小屋に戻す際、もみの木、アルプスの花、カラフルなリボン、キラキラするものや鏡などを頭に飾り、首には邪悪なものを追い払うために大きなカウベルを鳴らしながら、パレードのように山から村里に帰ってくる。音楽を奏で、ヒュッテで生産したチーズやハムやパン、シュナップス（火酒）を供し、村を行列した後は村祭りが始まり盛大に祝う。

オーストリアには約8,000のアルプスの牧草地があり、その半分以上が放牧されている。毎年夏には、31万頭以上の牛、11万頭以上の羊、1万頭のヤギ、そして9000頭近くの馬が、アルプスの山々の牧草地で季節を過ごす。このようなアルプスの土地管理の形態がなければ、多くの貴重な牧草地は生い茂り、使われなくなってしまうことになることから、家畜の放牧はとても重要なことであり、自然に対峙する知恵でもあるのであろう。

オーストリアのケルンテン州、オーバーエステライヒ州、ザルツブルク州、シュタイヤマルク州、チロル州などのスケジュールやアルムアップトリープの情報は、オーストリア政府観光局の公式サイトで確認できる。

アルムアップトリーブ　Almabtrieb
オーストリア政府観光局公式サイト　日本語での説明
https://www.austria.info/ja/inspiration/cattle-processions/

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