旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2020年7月12日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

長崎・上五島、29の教会が迎える祈りと癒しの島へ4~どちらも泊まってみたい! 2軒のマルゲリータ~

奈良尾港を見下ろす高台に2019年オープンした『五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾』。zoom
奈良尾港を見下ろす高台に2019年オープンした『五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾』。
空から見ると、十字架の形をした上五島。29の教会巡りとともに心癒される時間を過ごせるのが、海を見下ろす高台にある2軒のリゾートホテルです。名前は、どちらも『マルゲリータ』。2013年に上五島初のオーベルジュホテルとしてオープンしたのが島の北側・新魚目地区にある『五島列島リゾートホテル マルゲリータ』、昨年3月、新たに加わったのが、南端に近い奈良尾港を見下ろす『五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾』です。上五島の人たちは古くからあるホテルのほうを“本マル”、新しくできたほうを“マルゲリータ奈良尾”と呼んで区別しているのだそう。“マルゲリータ”の名称は、初夏から秋にかけて“本マル”周辺を埋め尽くすように咲くマーガレットの花にちなんで付けられました。

教会の数と同じ29の客室をもつ“本マル”
上五島初のオーベルジュホテル、“本マル”こと『五島列島リゾートホテル マルゲリータ』があるのは、長崎港からの高速船が発着する有川港から車で約25分の場所。西側に東シナ海を、東側に五島灘を一望できるロケーションに立ち、周りに視界を遮るものがないため1泊の滞在でサンセットとサンライズの両方を眺めることができます。
旅の1日目、いくつかの教会を巡ってホテルに到着したのは、夕日が沈みかけたまさにそのとき。ホテルの外観をオレンジ色に染める太陽が見えなくなるまで眺め、サンセットタイムの余韻を残すロビーラウンジでゆっくりとチェックインの手続きをしました。
エントランス前からサンセットを眺められる『五島列島リゾートホテル マルゲリータ』。源泉かけ流しのスパで、ゆったりくつろいで。zoom
エントランス前からサンセットを眺められる『五島列島リゾートホテル マルゲリータ』。源泉かけ流しのスパで、ゆったりくつろいで。
客室はすべてオーシャンビュー。西向きか東向きかで、サンセットかサンライズのどちらかを居ながらにして眺めることができます。修道院をイメージしたインテリアはとてもシンプル。吹き抜けの高さの窓から自然光が差し込むロビーラウンジ、アンティーク家具が置かれた地階のライブラリーも居心地がよく、ホテルでくつろぐ時間も取り入れつつ、滞在プランを組み立てたいものです。
天然温泉のスパは湯量が豊富な源泉かけ流し。無色無臭の単純泉は肌あたりがとてもやさしいのが特徴です。1日の疲れを癒す夜の入浴タイムはもちろん、海から昇る朝日を眺められる朝風呂もぜひ楽しんでみたいもの。海に面したリラクゼーションデッキで、湯上りのほてりを冷ましながら朝の海を眺めるのもいいものです。

オーベルジュホテル自慢のイタリアン・ディナーを心ゆくまで
ホテル内のレストラン『空と海の十字路』は、その名の通り壁面いっぱいに広がる窓から空と海を眺められるロケーション。五島の魚介と地元野菜で作る、優しい味のイタリアンが自慢です。
『空と海の十字路』では地元の新鮮食材を使ったイタリアンのコースディナーを。和定食のリクエストも可能です。zoom
『空と海の十字路』では地元の新鮮食材を使ったイタリアンのコースディナーを。和定食のリクエストも可能です。
近くの海で揚がったイサキやアオリイカ、真鯛、岩ガキなどに加え、五島牛、トスカーナのプロシュートやサラミが彩りを添えます。面白いのは、イタリアンレストランでありながら、新鮮なお刺身や煮魚が付く和食のコースをリクエストできること。両方を味わうため、連泊する人も少なくないそうです。

朝食の楽しみも尽きません。自家製ソーセージと地元産・新鮮野菜のサラダ、自家製パンに添えられるのは、玉ネギ、長崎ミカン、リンゴから作った手作りのジャム。無添加のため販売することができず、この朝食でのみ味わうことができる貴重なジャムです。サイドメニューとしてフレンチトースト、パンケーキなどから1皿を選べ、ボリュームも文句なしの贅沢な内容になっています。
上左/五島灘から昇る朝日。上右/初夏から秋にはこの丘をマーガレットが白く染めます。下/朝食にも地元食材がたっぷり!zoom
上左/五島灘から昇る朝日。上右/初夏から秋にはこの丘をマーガレットが白く染めます。下/朝食にも地元食材がたっぷり!
このレストランでは宿泊ゲストに夕食と朝食を提供するほか、イタリアン・メニューのランチ営業を実施。月替わりでピザやパスタ、自家製パンの食べ放題企画が実施されることがあり、滞在中のランチタイムに利用するのもいいでしょう。スパの日帰り利用もできるため、地元の人達からも人気のスポットになっています。

●五島列島リゾートホテル マルゲリータ
長崎県南松浦郡新上五島町小串郷1074
TEL 0959-55-3100
https://margherita-resort.com/

上五島滞在の楽しみが広がる、新しい“マルゲリータ”
もう1軒は、2019年3月に開業したばかりの『五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾』。島の南端に近い奈良尾港を見下ろす高台にあり、ロビーからその爽快な景色を一望できます。チェックインの際、ウェルカムドリンクの椿茶とともにいただいた豆ようかんの美味しかったこと! 朝から夕刻まで、島内の教会を巡って疲れ気味だった体に、やさしい甘さが染みわたりました。また、椿の葉を乾燥させて作る椿茶は、ノンカフェインでビタミンCが豊富。血圧を抑える効果もあるのだそうです。
客室タイプが豊富で、和食と温泉が楽しみな『マルゲリータ奈良尾』。右下は人気の和朝食。zoom
客室タイプが豊富で、和食と温泉が楽しみな『マルゲリータ奈良尾』。右下は人気の和朝食。
前日宿泊した“本マル”と同様、客室数は上五島にある教会数と同じ29室。部屋のタイプとロケーションによりダブル、ツイン、広々としたテラス付きのエグゼクティブテラスなど、6タイプから選べます。別棟には源泉かけ流しの温泉大浴場があります。滞在した夜は満月で、月明かりを眺めながらのんびり入浴タイムを過ごしました。
レストラン『海ト空〇ト星(うみとそらまるとほし)』では、新鮮な魚介をたっぷり使った和食を提供。五島米の土鍋炊きご飯が美味しい和朝食に、心も体も和みました。
ホテルの眼下に広がる奈良尾港。この日は月に一度、まき網船が船団を組んで出港する日に当たり、普段は静かな港が活気にあふれていました。zoom
ホテルの眼下に広がる奈良尾港。この日は月に一度、まき網船が船団を組んで出港する日に当たり、普段は静かな港が活気にあふれていました。
●五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾
長崎県南松浦郡新上五島町奈良尾郷712-3
TEL 0959-44-1701
https://margherita-star.com/

今回の上五島の旅では、2軒のマルゲリータに1泊ずつしましたが、もう1泊してどちらかを連泊してもよかったな、と思っています。思い思いのプランで、心ゆくまで島旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

※上五島の教会巡りは、こちらから。
  ↓↓
『長崎・上五島、29の教会が迎える祈りと癒しの島へ』
  1 世界遺産の教会がある集落
  2 人々の暮らしに寄り添う教会を巡る
  3 白亜のキリスト像が見守る伝説の洞窟  

以下のコラムに続きます。
  ↓↓
 5 島の手仕事にふれる
 6 島の美味しいものを食べ尽くす!

【協力】
長崎県/新上五島町
https://shinkamigoto.com/tour/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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