帝国ホテル 京都、本棟「旧弥栄会館」が国登録有形文化財として継続登録
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2026年07月25日公開

エリア:アジア  > 日本  > 京都 / ジャンル:ホテル・宿泊施設 , 

帝国ホテルは、帝国ホテル 京都の本棟である登録有形文化財(建造物)「弥栄会館(やさかかいかん)」について、国の文化審議会の審議を経て、2026年7月9日、「旧弥栄会館」として登録有形文化財(建造物)の登録を継続したことを明らかにした。

弥栄会館は老朽化や耐震性の問題で、本来の用途である劇場を含む大部分が使用されなくなっていた。老朽化や耐震性の問題で歴史的建造物が解体されるケースも多い中、帝国ホテルは弥栄会館の一部を保存・活用し、設計施工を大林組が担った「帝国ホテル 京都」として2026年3月5日に開業した。

登録有形文化財の建造物は、建築面積の変更や外観の変更範囲が通常望見できる4分の1を超える場合、現状変更の届出が必要になる。帝国ホテル 京都の本棟は保存範囲が縮小したものの、外壁2面と躯体の保存、外壁タイル・テラコッタの保存と再利用、銅板屋根や飾り金物の更新などを実施した結果、立面構成の価値が十分保持されたとして、登録有形文化財(建造物)「旧弥栄会館」としての登録継続に至った。

保存にあたっては、景観継承の観点から南西面の外壁を残す必要があったため、施工中の安全性を考慮しながら構造体の解体と補強を並行して進めた。外装材であるタイルとテラコッタの保存・再利用、外観の特徴である軒庇(のきびさし)の保存も行った。南西側の外壁タイルは、剥落防止措置で残した部分と、既存材料を傷めず取り外し再利用する「生け捕り」の手法で貼り直した部分から成り、オリジナルのタイル16,387枚、解体前建物全体の10.6%にあたる枚数を生け捕った。

外壁のテラコッタレリーフは劣化状態に応じて修復し、アンカーピンで固定。文様は唐草文様の一種「宝相華(ほうそうげ)」である。屋根は劣化のため新たに作り直し、銅板でオリジナルの形状と寸法を忠実に再現したほか、軒丸の“歌”の刻印も再現した。屋根は経年で濃茶色、黒色、緑色へと変化し、工事前の色合いに近づく見込みである。正面玄関の風除室(ふうじょしつ)は天井・壁材の一部を保存再利用し、梅の枝文様の創建時エッチングガラスも再利用した。

弥栄会館は、祇園甲部歌舞練場を補完する目的で1936年(昭和11年)に竣工。設計は大林組の木村得三郎氏で、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上5階地下1階建の劇場建築である。塔屋状の正面中央部は付庇(つけびさし)や宝形造屋根(ほうぎょうづくりやね)を用い、城郭の天守を思わせる造形で和風意匠を織り込んでいる。当初は演劇や人形浄瑠璃に用いられ、その後は映画館やダンスホール、コンサートなど各種興行にも利用され、地域の人々に親しまれてきた。2001年(平成13年)に国登録有形文化財に登録され、2011年(平成23年)には歴史的風致形成建造物に指定された。帝国ホテル 京都は、この弥栄会館の一部を保存・活用したホテルで、内装は新素材研究所の榊田倫之氏が手がけ、意匠を受け継ぎながら日本古来の自然素材を用いた空間としている。

帝国ホテル 京都公式サイト:https://www.imperialhotel.co.jp/kyoto

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