- 2025.06.06
日本でも人気の高いベルギービール。その味わい、色、香り、アルコール度数などバラエティに富み、ワインのように熟成させたり、スパイスやハーブを使用したり、ベルギービールの特徴は個性豊かということであろう。そして、その歴史も古く、紀元前58年のカエサルによるベルギカ地方遠征時には既に各地でビールが造られていたという記録があるほどである。しかし、一般的にベルギービールは、中世に修道院の修道士によって作られはじめたのが始まりとなっている。
ベルギービールの多様性を生んだ背景には、国の緯度が高く、ワインを作るのに向く良質な葡萄が獲れず、ワインが発達しなかったこと。また、19世紀に入るまで主流であった自然発酵製法(ランビック)に向く好条件が揃っていたこと。そして、ドイツやチェコほどの良質なホップがとれなかったこともあり、旧来のハーブやスパイス、フルーツを使用した醸造法が近年まで受け継がれていたことなど、様々な要因が挙げられる。
ベルギー国内のビール消費量のうちおよそ7割を下面発酵のピルスナーが占めているが、上面発酵のエールと自然発酵のランビックの多様さが他国と比べて特異であるため、日本でベルギービールとよぶ場合はこの2種を特に指して使われる場合が多い。(参考:ウィキペディア)
ベルギー・アントウェルペン州の都市メヘレンには、1471年創業、国内で最も古い醸造所のひとつ、ヘット・アンケル醸造所(Brouwerij Het Anker)がある。この醸造所の有名なクラフトビールのブランド「ハウデン・カロルス(Gouden Carolus)」は、「金のカール(金貨)」という意味で、その名前は神聖ローマ皇帝カール5世に由来。皇帝はメヘレンで育った歴史があり、皇帝の時代に発行された金貨にちなんで名付けられた。
その伝統と品質は、長年にわたり、世界で最も重要なビールコンペティションで何度も受賞。ハウデン・カロルス・クラシックは、「キャラメルと洋ナシの雫の芳醇で豊かな香り。パワフルでありながら滑らか。豊かな果実味と長く温かみのあるフィニッシュを備えたなボディ」と、ワールドビールアワードの審査員が称賛した。
主なビールの種類:
・Gouden Carolus Classic(クラシック) アルコール度数約8.5%
濃色エール。フルボディでカラメルやドライフルーツのような味わいで、数々の国際ビール賞受賞
・Gouden Carolus Tripel(トリプル) アルコール度数約9%
黄金色のストロング・エール。華やかな香りとアルコールのボリューム感
・Gouden Carolus Cuvée van de Keizer(皇帝の特別キュヴェ)
毎年、カール5世の誕生日(2月24日)に醸造される限定ビールで非常にリッチ。赤と青のバージョンあり
・Gouden Carolus Whisky Infused アルコール度数12%超え
自社蒸留所のウイスキーをブレンドしたビール。非常にユニーク
醸造所はブラッスリーを併設しており、ベルギーの伝統料理とビールのペアリングを楽しめる。また、近年、敷地内にホテルも併設されたので、ベルギービール三昧を体験したい旅行者におすすめ。