東南アジアのケバヤ(ブラウス)がユネスコ無形文化遺産に登録
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[リスヴェル編集部]2025年01月24日公開

エリア:アジア  > シンガポール / ジャンル:観光情報・観光局・現地便り , 

2024年12月に開催されたユネスコの第19回政府間委員会において、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイの東南アジア5か国で共同提案された女性が伝統的に着用する上衣(ブラウス)の「ケバヤ」がユネスコ無形文化遺産に登録された。

東南アジア5カ国は共同申請にこぎ着けたが、一時は分裂する恐れがあった。マレーシアが提案し、シンガポール、ブルネイ、タイが賛同したものの、「ケバヤは国民服」と自負するインドネシアが国会の意向もあって単独申請を試みた。しかし、最終的にインドネシアが歩み寄ったため、文化遺産として例のない最多5カ国での共同申請が実現した。(出典:時事ドットコムニュース 2023年5月21日)

ケバヤは、共通の文化的アイデンティティを称え、異文化理解を促進するものとして現在でも多くの地域で生産され、共同提案した5カ国では日常的に着用されており、また、各国や地域ごとに文化的独自色がある。例えば、繊細な模様とカラフルな色使いが特徴的なケバヤは、伝統的なバティック柄をモチーフにしており、シンガポール航空やガルーダ・インドネシア航空、マレーシア航空などの女性客室乗務員のユニフォームとしてよく知られている。この制服はサロンケバヤと呼ばれるが、ケバヤは繊細な刺繍が施された女性の上衣で、サロンとは腰衣(スカート)を意味する。

シンガポールにおいて、ケバヤはプラナカン文化との関係性が深い。プラナカンとは、数世紀前にシンガポールを含むマレー半島に渡ってきた中国系の子孫と、半島に暮らしていた現地マレー人との間に生まれた子孫を指す。中国系プラナカンの人々は、欧米との貿易などで富を得るとともに西洋と中国の文化を融合させ、世代にわたり育んできた独自の文化的特徴を持っている。その世界観が凝縮された代表例が伝統衣装のケバヤと言える。

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