旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2019年10月8日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

メトロポールで朝食を ~二度目のロシアはモスクワの旅 Vol.1

「モスクワ一豪華な朝食」を食べられるホテル『Metropol(メトロポール)』。zoom
「モスクワ一豪華な朝食」を食べられるホテル『Metropol(メトロポール)』。
この夏、ロシアの首都モスクワを訪れました。

ロシア訪問は4年前、2015年春のサンクトペテルブルク以来、二度目。帝政時代の古都、かつてのラニングラードと、ロシア革命後に政治・経済の中心となった現在の首都を見比べてみたいこともあり、モスクワは必ず訪れたいと思っていた場所です。

ロシア革命史に名を残す『Metropol(メトロポール)』
モスクワ滞在の拠点に選んだホテル『Metropol』は1903年の創業。ロシア革命時には議会会場が置かれ、かのレーニンがここでたびたび演説を行ったそうです。革命史にも名が残るホテルは、モスクワ屈指の伝統と格式を誇ることでも知られています。
モスクワ屈指の歴史と格式を誇るホテル。館内にはこのホテルに滞在した内外の著名人を紹介するギャラリーもあります。zoom
モスクワ屈指の歴史と格式を誇るホテル。館内にはこのホテルに滞在した内外の著名人を紹介するギャラリーもあります。
モスクワの中心部にはこの『Metropol』と同年代に創業し、レーニンやスターリンが滞在した『Hotel National(ナツィオナーリ)』があります。また、フォーシーズンズ、リッツ・カールトン、ヒルトンなど、外資系の高級ホテルも進出していますが、Metropolを選んだことには理由があります。

まず、ロシアにはそうたびたび訪れる機会はないでしょうから、せっかくなら名実ともにその都市を代表するホテルに泊まっておきたかったこと。そして赤の広場、ボリショイ劇場といった観光スポットが徒歩数分という便利なロケーションであること、さらには「モスクワ一、豪華な朝食が食べられる」ことも大きな決め手になりました。

スパークリング飲み放題のブレックファスト・タイム
ビュッフェスタイルの朝食会場になるのは『Metropol Hall』。高い天井に噴水もある大宴会場のようなホールで、平日は7:30~10:30、土・日曜は7:30~11:30がブレックファスト・タイムになります。
朝食会場になるMetropol Hall。zoom
朝食会場になるMetropol Hall。
メニューの目玉は、なんといってもスパークリングワインの飲み放題! 白とロゼが用意され、自分で好きなだけ注いで飲めるのです。

フードメニューは、サーモン&いくら、ニシンの酢漬け、生ハム、チーズ、もちろんオムレツなどの卵料理も。サラダの野菜、フルーツやパンも豊富で、ハチミツとジャムは10種類以上。中国系のお客さんが多いらしく、麵料理、点心もありました。

気になる朝食のお値段は……
朝食の料金は2,450ルーブル、日本円で約4,200円。モスクワの物価でいうと、そこそこいいレストランでディナーが食べられる価格です。決して安くはありませんが、スパークリングの飲み放題付きと考えれば、飲ん兵衛さんには随分とお得感があります。
ちなみに、ハワイでこのクラスのホテルで朝食ビュッフェを利用すると50ドル前後、シャンパン・ブレックファストは100ドル以上で提供するところは珍しくありません。それに比べると、ずいぶんとリーズナブルに思えてきませんか。
朝からスパークリングワイン飲み放題。飲ん兵衛さんにはたまりませんね。zoom
朝からスパークリングワイン飲み放題。飲ん兵衛さんにはたまりませんね。
ブレックファスト・タイムの終わりが近づくと、フロアスタッフによる「ふるまいタイム」が始まります。各テーブルの空いているグラスを目ざとく見つけ、にっこり笑ってなみなみと注いで回るのです。ボトルを開けたら、残してもしょうがないということなのでしょう。
とても魅力的な朝食ではありますが、これを毎朝食べ続けると飲んでいるだけで半日が終わってしまいます。他のことができなくなる可能性があるため、1日限定のお楽しみとしました。
ビュッフェに並ぶ料理の数々。野菜やフルーツもたっぷりあります。zoom
ビュッフェに並ぶ料理の数々。野菜やフルーツもたっぷりあります。
アルコール付き朝食はロシアの定番!?
お酒好きが多いことで知られるロシアでは、ウォッカやブランデーのように度数40度以上のアルコール以外はお酒のうちに入らないのだとか。ワインはジュースみたいなもの。ビールに至っては、ガス入りのミネラルウォーター代わり……かどうか定かではありませんが、ロシアの五つ星以上のホテルでは、このような「飲み放題ブレックファスト」を実施しているところは珍しくないようです。
ハープの生演奏を聴きながら、ディナー並みに時間をかけて楽しみました。zoom
ハープの生演奏を聴きながら、ディナー並みに時間をかけて楽しみました。
朝食のレストランは宿泊者でなくても利用できるので、旅のプランにぜひとも取り入れてみてください。お酒がさほど好きではなくても、ロシアらしい体験のひとつになるのではないでしょうか。

●Metropol(メトロポール)
TEL 432-65-49
Театральный Проезд, 2. Москва(劇場通り2)
https://metropol-moscow.ru/

※ブレックファスト・ビュッフェの予約ページ

https://metropol-moscow.ru/en/event/vaucherybezdaty/zavtraki-v-otele-metropol/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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