旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2018年10月16日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

シカゴの街を食べ歩く、ローカルが案内するフードツアー 【連載】建築&アート、音楽と食を巡るシカゴの旅 Vol.8

ローカルフードの食べ歩きと街歩きの両方を楽しめるフードツアー『Chicago Food Planet』。zoom
ローカルフードの食べ歩きと街歩きの両方を楽しめるフードツアー『Chicago Food Planet』。
旅先では、地元の人が普段食べているローカルフードや、人気のレストランが気になります。シカゴの三大ローカルフードを知っていますか? それは、ピザ、ホットドッグ、そして牛丼のパンバージョンともいえるイタリアンビーフ。なかでもピザとホットドッグの店は、街を歩くといたるところで看板を見かけます。そのなかから、地元の人たちに愛されるお店をセレクトし、老舗店や話題の店とともに案内してくれるフードツアーが『Chicago Food Planet(シカゴ・フード・プラネット)』。いくつかコースがあり、街の中心部のゴールドコーストとオールドタウンを案内してくれるツアーに参加してきました。

チーズがとろ~りとろける、分厚いシカゴピザに舌鼓
ツアーの集合場所は、レストランやクラブが軒を連ねるラッシュ・ストリート。このあたりはシカゴでも1,2を誇る繁華街で、週末は深夜まで賑わうエリアです。この日のメンバーは、日本からやってきた私たち6名と、アメリカ各地からの参加者が4名、そしてガイド役の女性に、彼女のお父様でジャーナリストの男性。
「まずは、簡単に自己紹介をしてね。どこから来たのか、それといちばん好きな食べ物を教えて」とガイド役の女性。
とてもシンプルな質問ですが、その答えがなかなか興味深かったです。アメリカからの参加者は、ステーキ、ピザ、ポップコーンにマッシュポテト。日本側からは、鮨、餃子、アイスクリームなどなど。私は迷わず、「オイスター」と答えました。

11:00~14:00の3時間で6軒のお店を回るツアーの1軒目は、三大ローカルフードのひとつ、ピザの店『Lou Malnati's(ル・マルナーティ)』へ。
1971年創業の『Lou Malnati's』は、シカゴを代表するピザ・レストラン。ステーキメニューも人気の店だそう。zoom
1971年創業の『Lou Malnati's』は、シカゴを代表するピザ・レストラン。ステーキメニューも人気の店だそう。
『Deep Dishes Pizza(ディープディッシュ・ピザ)』とも呼ばれるシカゴピザの特徴は、深めのフライパンにピザ生地を敷きつめ、その上からソースとチーズをたっぷりかけてオーブンで焼きあげること。じつはそれまで、
「ピザはやっぱり、イタリアに限る。アメリカのピザは生地ばかり厚くて、味のほうは今ひとつ……」と思っていた私。けれど、この店のピザを食べてイメージが変わりました。サクサクのピザ生地にソースとチーズがとろけて、チーズグラタンに近い味。1軒目から飛ばしてしまっては後が続かないかも…という不安が頭をよぎりつつ、美味しい誘惑には勝てず完食です!

世界のお茶でのどを潤し、高級住宅街を散策
2軒目の『Tea Gschwender(ティー・グシュヴェンダー)』は、ドイツ発祥のお茶の専門店。1970年代後半に小さなティーショップからスタートし、現在ではヨーロッパ各国、アメリカのほか、ブラジルにも出店しているそうです。扱う茶葉の種類は300以上。日本の緑茶、抹茶もあり、茶筅まで並んでいたのには驚きました。緑茶にはシロップを入れて、抹茶はミルクを入れてラテにして飲むのが人気だそう。マンゴー&パイナップル風味のホワイトティーなど、シカゴっ子はストレートティーより甘めのフレーバーティーのほうがお好みのようです。
世界の茶葉約300種類が並ぶ、お茶の専門店を訪ねたあとは、高級住宅街のゴールドコーストを散策。zoom
世界の茶葉約300種類が並ぶ、お茶の専門店を訪ねたあとは、高級住宅街のゴールドコーストを散策。
Vol.1でご紹介したバイクツアーでも訪れたゴールドコーストの高級住宅街を抜け、次に向かったのは、かつてのドイツ人街・オールドタウン。自分の足で歩くうちに、だんだんと街の概要と位置関係がわかってきました。3軒目のスパイス専門店『The Spice House(ザ・スパイス・ハウス)』は、1957年創業の老舗。世界中のスパイスのほか、ハーブソルト、トリュフソルトなど自家調合のシーズニングもあり、あれもこれもとほしくなってしまいます。
世界のスパイスを扱う『The Spice House』。中庭でシナモンについてのミニワークショップがありました。ツアー参加者には割引があるので、お土産探しにもおすすめです。zoom
世界のスパイスを扱う『The Spice House』。中庭でシナモンについてのミニワークショップがありました。ツアー参加者には割引があるので、お土産探しにもおすすめです。
オールドタウンの街並みを楽しみながら、老舗チョコレートショップへ
4軒目に訪れたのは、チョコレートショップ『The Fudge Pot(ザ・ファッジ・ポット)』。1963年の創業時と変わらぬレシピで、チョコレートやキャンディを作っています。素朴な形からも手作りの温かみが伝わってきて、小さなお店ながら、知る人ぞ知る人気店だそう。有名人のサイン入りの写真が壁を埋め尽くしていました。
オールドタウンは、かつてカトリックのドイツ系移民が多く暮らしていた場所。その後、ロシア人、フランス人、イタリア人などが増え、作家やアーティストも多く暮らすようになりました。現在でも、当時の面影を残す石畳や瀟洒な住宅があり、その間にカフェや小さなブティックができていて、街並みを眺めながら歩くだけで楽しい場所です。
老舗のチョコレート専門店『The Fudge Pot』では、キッチンの中まで見せてもらいました。5軒目はオイルのテイスティングができる『Old Town Oil』。zoom
老舗のチョコレート専門店『The Fudge Pot』では、キッチンの中まで見せてもらいました。5軒目はオイルのテイスティングができる『Old Town Oil』。
オリーブオイルのテイスティグの次は、エスニックなコーヒータイム
5軒目は、オリーブオイルの専門店『Old Town Oil(オールドタウン・オイル)』。エキストラバージンのオリーブオイルのほか、フレーバーオイル、バルサミコ酢もあり、テイスティングして好みのオイルを量り売りもしてくれます。スパイス入りのフレーバーオイルは知っていましたが、オレンジなどフルーツ風味のオイルまであることには驚きました。
最後のスポット、6軒目はレバノン人の方が経営する中東料理の店『Old Jerusalem(オールド・エルサレム)』。ここ、オイルショップへ行く前に通り過ぎ、気になっていたお店。フムスとスイーツ、レバノンスタイルのコーヒーを味わいました。
最後に訪れたのは中東料理の『Old Jerusalem』。現地解散となるので、終了後は気に入ったお店を再訪したり、ツアー中に気になった店をのぞいてみることもできます。「ここのアイスクリーム、絶品よ!」と教わった店へ直行。zoom
最後に訪れたのは中東料理の『Old Jerusalem』。現地解散となるので、終了後は気に入ったお店を再訪したり、ツアー中に気になった店をのぞいてみることもできます。「ここのアイスクリーム、絶品よ!」と教わった店へ直行。
親しい友人の案内で食べ歩き&街歩きを楽しむ気分に
時々、街の観光案内も織り交ぜながらツアーが進行するため、食べ歩きとともに、街歩きを楽しめるのもこのツアーのいいところ。
私たちが参加した、ゴールドコーストとオールドタウンを巡る『2nd City Classic』(所要3時間、60ドル)のほか、チャイナタウンを食べ歩く『Chnatown Adventure 』、ピザ、ホットドッグ、イタリアンビーフの三大ローカルフードに加え、ポップコーン、ブラウニーなどのスイーツも楽しめる『Best in Chow』など全部で6コース。3月~11月に実施されるツアーが中心ですが、通年催行のもの、冬限定の内容も。ツアーで訪れるショップ以外に、ガイドさんが個人的におすすめするお店も教えてもらえ、地元の友達に案内してもらいながら歩く気分を味わえます。ガイドブックに載っていない、自分だけのお気に入りを見つけられる可能性も大なのです。

●Chicago Food Planet(シカゴ・フード・プラネット)
TEL 1-312-932-0800
www.chicagofoodplanet.com


●協力
シカゴ観光局

http://choosechicago.com/jp
ユナイテッド航空 
www.united.com
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
risvel facebook