(「シリーズ『北海道より大きいカナダの島』【12】」からの続き)
カナダ東部の北海道より大きな島、ニューファンドランド島の主要都市セントジョンズ近郊で乗った大西洋を航行する遊覧船のツアーで、観察できることを保証していなかったクジラを3頭も目の当たりにすることができた。このツアーが「必ず見られる」と保証している名物の鳥がおり、その鳥は大ヒット映画に登場するキャラクターのモデルになったという。
▽「ピーピー島」以外にも生息
船が巡るウィットレス湾自然保護区にはガル島、グリーン島、グレート島、ピーピー島の四つの島がある。お目当ての鳥は鳴き声を聞くと最後の「ピーピー島」が似つかわしいが、船を運航するギャザオールズの共同経営者、マイケル・ギャザオールさんは「四つの島全てに生息している」と説明する。
海面の近くを銀色のマンボウが泳いでいる姿も見ることができた。自然保護区だけあってどの生物も悠然としている。
▽口にしない島の名前
島に近づくと、「ピーピー」というけたたましい鳴き声が聞こえてきたが「ここはピーピー島だ」と教えてくれているわけではもちろんない(笑)。乗組員は船内放送で「目的の島に着きました」と伝えたが、どの島なのかを口にしなかった。万が一、特定の島が旅行者に知られて他の船で押し寄せられると「オーバーツーリズム」状態になり、環境や自社の商売に悪影響が出ることを懸念しているのだろうか。
▽カモメとウミガラスを“ガン無視”
島の岩肌に灰色の翼を持った白い鳥と、白と黒のツートーンの鳥が密集しているのが見えた。それぞれカモメとウミガラスだ。羽を休めてくつろいでいる様子がかわいらしい。だが、乗組員は「この辺はまだあまりいませんね」と彼らの存在を“ガン無視”した。
次の瞬間、乗組員が船内放送のマイクを握りながら「オー、この辺の右手の丘にたくさんいるのがみえるでしょう!」と絶叫した。
▽待ち受けていた「保証付き」の鳥
海岸の丘には、ツアーで「保証付き」とうたった目当ての鳥が鈴なりになっていた。くちばしにオレンジ色が入っているのが特徴的な黒と白の毛で覆われた“癒やし系”の外見の鳥「アトランティック(大西洋)パフィン」だ。日本語でニシツノメドリと呼ばれる。外見はペンギンをほうふつとさせるが、体長が40センチ程度とペンギンより小さい。
ニシツノメドリは北半球の大西洋沿岸に分布しており、大ヒット映画「スターウォーズ」のキャラクター「ポーグ」のモデルになったという。ロケをしたアイルランドの島、スケリッグ・マイケル島にニシツノメドリが多く生息していたのに着想を得て、海洋惑星「オク=トー」に生息しているという設定のまん丸の目をした愛らしいキャラクターを考えついたという。
▽スターウォーズのポーグは丸焼きにされるが…
スターウォーズシリーズの作品「最後のジェダイ」には森林惑星「キャッシーク」出身のウーキー族のキャラクター「チューバッカ」がポーグを丸焼きにして食べようとする場面がある。
モデルとなったニシツノメドリの顔は、狩猟するのは残酷に思わさるような愛らしさがある。人間に攻撃的なわけでもなく、小柄なので味わえる部分は少なさそうだ。しかし、大西洋の対岸のスコットランドでは「スナックとして食べられていた」と英国人から衝撃的な情報を聞いた。
クジラを「おいしそう」と言って非難のまなざしを浴びたささやかな“反撃”で、地元住民の女性に「ニューファンドランド島ではまさかニシツノメドリを食べていないよね?」と質問した。すると、その女性は「今は食べていないけれども、昔は食料事情が厳しい時代もあったから…」と何とも歯切れの悪い回答だった。
(「シリーズ『北海道より大きいカナダの島』【14】」に続く)
(連載コラム「“鉄分”サプリの旅」の次の旅をどうぞお楽しみに!)