旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2020年9月17日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

地元・湘南食材中心に、各地の旬を堪能するカウンター・イタリアン『Restaurant COCON』

メインの肉料理は、知多産特選和牛のランプ肉にボルドーの赤を合わせて。zoom
メインの肉料理は、知多産特選和牛のランプ肉にボルドーの赤を合わせて。
古都・鎌倉で1泊2日のゆったり旅を楽しんだ『鎌倉古今(かまくら ここん)』。ディナーは館内のレストラン『Restaurant COCON(レストランここん)』でいただきました。

古民家をフルリノベーションした建物内にあるレストランのメニューは、山形・庄内で“自然派イタリアン”として知られる『アル・ケッチャーノ』奥田政行シェフの監修によるもの。イタリアンをベースに、和とフレンチのテイスト、さらに漢方も取り入れた、オリジナル料理になっています。

ライブ感を楽しめる、カウンター・スタイルのレストラン
シェフの調理風景を間近に眺めながら食事ができるカウンター・スタイル。ゲストルーム同様、木の温もりを感じる和の空間に、モダンなカウンター席が見事に調和しています。
シェフズテーブルのようなライブ感があり、シェフとのやりとりも楽しみなカウンター・スタイルのレストラン。zoom
シェフズテーブルのようなライブ感があり、シェフとのやりとりも楽しみなカウンター・スタイルのレストラン。
この日のディナーは夏のメニューで、トウモロコシの粉から作るポレンタを油で揚げてキャビアとをのせた『キャビアポレンタ』、岩牡蠣、夏野菜のサラダ、魚料理はイサキ、イカスミのパスタに続き、黒毛和牛、カンパリのグラニテ、抹茶のスイーツ、小菓子というコース。ワインを中心に、お酒もペアリングをおまかせしました。

日本中から厳選した食材と、地元食材&調味料の絶妙なハーモニー
メニューには相模湾から揚がったばかりの鮮魚、鎌倉野菜といった地元食材に加え、日本中から厳選した旬のものを取り入れているとのこと。調理法もイタリアンのジャンルにこだわらず、その時々で最も美味しい食べ方で提供しているそうです。例えば、宮崎産の岩牡蠣に北海道産チーズを合わせたり、肉は愛知県・知多産の黒毛和牛、調味料には国産レモンや地元の専門店が扱う天然醸増味噌などを隠し味に使っているといった具合。鎌倉野菜を中心に、コース全体で20種類以上の野菜を使い、野菜をたくさん食べられることも女性には特にうれしいのではないでしょうか。
湘南産をはじめ、各地から厳選した食材を使ったディナーコースの一部。目の前で調理されるのを眺めながら待つ楽しみがあります。zoom
湘南産をはじめ、各地から厳選した食材を使ったディナーコースの一部。目の前で調理されるのを眺めながら待つ楽しみがあります。
飲み物のペアリングに大技、小技が光る!
ペアリングでおまかせしたお酒は、食前酒のシャンパンに『ハイパーエドシック』、岩牡蠣にはミネラル分をしっかり感じるプロヴァンスの白、鎌倉野菜のサラダにはニュージーランド・マールボロ産のソーヴィニヨン・ブランと続きます。鮮魚料理に合わせ、グラスでほうじ茶がサーヴされたのには驚きました。茅ヶ崎に本社と工場を構える『ロイヤルブルーティー』の『玉露ほうじ茶 香焙(KAHO)』といい、料理人の世界でも絶賛されているものだそうです。苦みや渋みはほとんどなく、独特の香りと甘みが、皮目をカリッと焼き上げたイサキの淡白な白身によく合います。さらに、イカスミのパスタには青森の銘酒『田酒』の純米吟醸。わずかにとろみがあり、濃厚なイカスミの風味を引き立てます。そして、肉料理にはボルドーという組み合わせ。食後にいただいた自家製グラッパもあまりに美味しく、部屋飲み用に追加でオーダーしてしまいました。
食後に味わいたい自家製グラッパ。口当たりの良さについつい飲み過ぎてしまいましたが、翌朝に残ることはありませんでした。zoom
食後に味わいたい自家製グラッパ。口当たりの良さについつい飲み過ぎてしまいましたが、翌朝に残ることはありませんでした。
地元商店の食材&調味料をたっぷり使った和朝食に癒される
翌朝の朝食は、庭園を見渡せるダイニングでいただきました。ハト麦、玄米、ビワをブレンドし、胃腸をお肌を整える効果があるとされる『朝の健康茶』から始まり、鎌倉野菜のサラダに添えられているのは、奥田シェフのレシピによるドレッシング。土鍋で炊き上げるご飯のお米は、奥田シェフのお膝元でもある山形産の『つや姫』。お味噌汁には昨夜と同じ地元の専門店が取り扱う天然醸造の信州味噌を使い、豆腐と炊き合わせのがんもどきは、週に2日だけ営業する地元の豆腐店のもの。干物ももちろん地元の魚屋さんが扱うものです。食材と調味料だけでもどれだけの手間暇をかけて揃えているのか想像でき、いかに贅沢な朝食なのかわかるでしょう。滞在中のサポートをしてくださったコンシェルジュさんにお願いし、それぞれの食材を扱う地元店の名前と場所も、しっかりチェックしました。
朝食は庭の緑を見渡せるダイニングで。ランチやディナー営業時には、個室として利用できます。zoom
朝食は庭の緑を見渡せるダイニングで。ランチやディナー営業時には、個室として利用できます。
昨夜、イタリアンのフルコースを残さず食べたにもかかわらず、丁寧に作られた和朝食の美味しさに、ご飯をお代わりしてしまいました。食後は再び部屋に戻ってまったり過ごしチェックアウト。近くの史跡を数カ所散策し、コンシェルジュさんから教えてもらったお店数軒に立ち寄ってから、古都・鎌倉を後にしました。夕方早めの時間には帰宅したものの、1泊2日の小旅行とは思えない充実感に満たされた久しぶりの旅となりました。
地元の食材をたっぷり使った和朝食。土鍋で炊いたご飯も美味しく、箸が止まりません。zoom
地元の食材をたっぷり使った和朝食。土鍋で炊いたご飯も美味しく、箸が止まりません。
このレストランでは朝食は宿泊ゲストに限り提供していますが、ランチとディナーは前日までに予約すれば食事だけで利用することができます。レストラン、2室のメゾネットスイートを含め、全館貸し切り利用もできるため、ウエディングや親族だけの集まり、地方や海外からのゲストをもてなすために利用されることも少なくないとか。まずは日帰りで鎌倉散策を楽しむときのランチとして、利用してみるのもいいかもしれません。

※築160年の古民家をフルリノベーションした宿『鎌倉古今』の紹介は、こちらから。
 ↓
久しぶりの旅は近場から。この秋、訪れたい古都の隠れ家『鎌倉古今』

●RESTAURANT COCON(レストランここん)
神奈川県鎌倉市二階堂836『鎌倉古今』内
TEL 0467-81-4435
ランチ12:00~14:00(LO)・ディナー18:00~20:00(LO) ※完全予約制
水・木曜、年末年始休
https://www.kamakura-cocon.jp/rsvr.html
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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