旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2020年9月11日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

久しぶりの旅は近場から。この秋、訪れたい古都の隠れ家『鎌倉古今』

庭園を見渡せる和風のラウンジでは、シャンパンと自家製のお菓子をいただきながらチェックイン。zoom
庭園を見渡せる和風のラウンジでは、シャンパンと自家製のお菓子をいただきながらチェックイン。
久しぶりの小旅行で鎌倉を訪れたのはこの夏、猛暑が訪れる直前の雨の日。小町通りにあるお気に入りのイタリアン・レストランでランチを楽しみ、駅前の鎌倉野菜直売所を冷やかし、迎えの車でこの夜の宿に向かいました。

目的の『鎌倉古今(かまくら ここん)』までは、鎌倉駅から専用の送迎車で約10分。『鶴岡八幡宮』からのんびりと歩いても15~20分の場所です。宿がある二階堂エリアは、鶴岡八幡宮の東側に広がる閑静な邸宅地。鎌倉最古のお寺である『杉本寺』、もう少しすると秋の紅葉が楽しみな『瑞泉寺』から近く、またハイキングコースも張り巡らされた緑豊かな地です。

江戸時代から住み継がれてきた築160年の古民家をフルリノベーションした和モダンな1軒宿。zoom
江戸時代から住み継がれてきた築160年の古民家をフルリノベーションした和モダンな1軒宿。
築160年の古民家をフルリノベーション
鬱蒼とした緑の山を背景に、奥行きのある敷地内にあるこの宿は、江戸時代から住み継がれてきた築160年の古民家をフルリノベーションし、和モダンな1軒宿としてオープンしました。
くれ縁や客室から庭園を眺めるのが楽しみ。静かな雨の日も、また風情があっていいものです。zoom
くれ縁や客室から庭園を眺めるのが楽しみ。静かな雨の日も、また風情があっていいものです。
通常の日本家屋よりはるかに広めにとられたくれ縁、天井や鴨居の細工、格子板戸や、部屋に合わせて設えた和ダンスなどの調度品からは、かつての主の趣味の良さが伝わってきます。広大なお屋敷のような館内に、ゲストルームは2室のみ。木の温もりを残しつつ、最新の設備を導入しています。どちらもメゾネットタイプのスイートで、最大4名まで滞在できます。部屋の入り口が離れているため、他のゲストと鉢合わせたり密になる心配はなし。プライベートな別荘感覚で過ごせるのことも魅力です。

一晩2組限定。趣が異なる2室のメゾネットルーム
明治時代に建てられたという蔵の部分を改装したのが、『蔵メゾネットスイート』。吹き抜けの天井が高く、2階のベッドルーム部分が傾斜屋根になっているため、小窓の外の緑を眺めていると、山小屋で夜を過ごす気分に。白壁に囲まれた蔵の内部には外からの音がほとんど響かないため、誰にも邪魔されず“おこもりステイ”を楽しめます。
明治時代に建てられた蔵を改装した『蔵メゾネットスイート』。1階にリビングと和室、バスルームが、2階がベッドルームという造り。zoom
明治時代に建てられた蔵を改装した『蔵メゾネットスイート』。1階にリビングと和室、バスルームが、2階がベッドルームという造り。
一方、開放的でモダンな雰囲気を味わえるのが『古今スイート』。1階のリビングも2階のベッドルームも大きな窓に囲まれていて、ガラスに映る緑を眺めながら過ごせます。
どちらの客室も80㎡というゆったりとした広さ。ベッドにはエアウィーヴ社の寝具を備え、スマートスピーカー、24時間適温に保たれているマイクロバブルバスなど、快眠&快浴を追求した設備を導入。エスプレッソマシン、健康茶のほか、冷蔵庫にはミネラルウォーター、地元のクラフトビールを始めとしたアルコール類など6種類の飲み物が収められています。

今回、滞在したのは、この『古今スイート』。夕食後は部屋に届けてもらった自家製グラッパを同行者と味わいながら、久しぶりの旅の興奮が冷めやらず、おしゃべりに花を咲かせました。こんな夜は、思い立ったらすぐに入浴できるマイクロバブルバスが、その威力を発揮します。深夜でも朝でも、いつでも入浴できる便利さと快適さを、これほど感じたことはありません。
滞在した『古今メゾネットスイート』。1階がリビングとバスルーム、2階に和室とベッドルームがあり、朝は鳥の声で目覚めます。zoom
滞在した『古今メゾネットスイート』。1階がリビングとバスルーム、2階に和室とベッドルームがあり、朝は鳥の声で目覚めます。
極上の滞在をサポートしてくれる専属コンシェルジュの存在
これだけ贅沢な空間ですから1泊2日、どこにも出掛けず過ごしたいところ。また、専属コンシェルジュによるサポートも利用しない手はありません。事前に予約しておけば、客室でフェイシャルエステやアロマテラピー、カイロプラクティック、マタニティエステなどを受けることが可能。チェックイン/アウト後のアクティビティとして、寺社巡りやハイキングなどのネイチャーウォーク、座禅や茶道など古都ならではの体験もリクエストできます。地元の人御用達の穴場情報にも詳しく、ありきたりではないショッピングのスポットや、お土産の相談をしてみるのもいいでしょう。
閑静な邸宅地の一角。涼しくなるこれからの季節は、近隣の史跡散策も楽しみです。zoom
閑静な邸宅地の一角。涼しくなるこれからの季節は、近隣の史跡散策も楽しみです。
あいにくの雨模様でしたが、そのぶん静かで、濡れそぼった木々から発せられるマイナスイオンに包まれて過ごした2日間。翌朝は、早朝から聞こえ始めた鳥たちの声が、心地よい目覚めへと誘ってくれました。
都心から1時間~1時間半でアクセスできる鎌倉は、久しぶりの小旅行や、「まだ、遠くへ出かけるのは心配」という人におすすめの場所。日帰りでも十分楽しめますが、せっかくならこんな贅沢な宿に滞在し、ゆったりした時間を過ごしてみたいもの。猛暑疲れを癒してくれるのはもちろん、外出自粛期間中のストレスも解消してくれるに違いありません。

次回、私がひそかにもくろんでいるのは、敷地内に山菜やタケノコが顔を出すという春の季節の訪問。タイミングが合えば、コンシェルジュの案内で山菜取りができる(かもしれない?)と聞き、楽しみにしています。

※次回は、施設内にあるカウンター・スタイルのイタリアン・レストラン『Restaurant COCON(レストランここん)』をご紹介します。

地元・湘南食材中心に、各地の旬を堪能するカウンター・イタリアン『Restaurant COCON』

●鎌倉古今(かまくら ここん)
神奈川県鎌倉市二階堂836
TEL 0467-81-4435 ※電話受付時間9:00~18:00(定休日の水・木曜を除く)
https://www.kamakura-cocon.jp/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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