独立する前はある貿易会社にいたそうです。
「で、イスラエルに飛ばされちゃったんです。」
「イスラエル、、って、あの何だか物騒な、。」
「そう思うでしょ?でも、行ってみるとこれが全然違うんです。観光国なんですよ、実は。世界中からたくさんの観光客がバカンスを楽しみに集まって来るんです。日本みたいにちゃんと四季があってね。自然は豊かだし、食べ物は美味いし、女の子はもうとにかくみんな奇麗だし、それに、あまり知られてないけどサッカーがすごく盛んなんですよ。」
サッカーね。どうやら彼のライフスタイルにおいて重要なのは、1、食べ物、2、女の子、3、サッカー、ということらしい。3をキックボクシングに入れ替えると僕になりますね。男子の思考回路なんて所詮そんなレベルってことでしょう。あ、いや、もっと緻密で複雑に思考してる男の人もいるでしょうけど。50も近くなって自分のことを「男子」なんて呼んでいるような人間の頭の中はとてもシンプルにできているのです。一生大人にはなれないの。
「僕は子供の頃も外国で育ちましたし、仕事でもプライベートでも世界中あちこち行きましたけどね。どこが一番好きかって聞かれれば間違いなくイスラエルって答えます。ナイトライフも充実してるし、美味しいワインもありますしね。地中海、死海、建造物、歴史の遺産、、世界中の素晴らしいものをすべて詰め込んだような国なんだ。天国です。飛ばしてくれてね、会社にも感謝してますよ。あまりに気に入ったもんだから最初1年の予定だったところを自分で仕事作って結局3年延長したんです。」
「でもさ、その、宗教的なモノがあるんじゃない?何かいろいろ面倒な感じがするんだけど、。」
「宗教はもちろんあります。そもそもユダヤ教を信じる人がユダヤ人ですからね。だから黒人のユダヤ人もいるし、ややこしいですけどアラブ人のユダヤ人もいます。イタリア人のユダヤ人も。で、世界中に散らばってるユダヤ人を集めて作った国がイスラエルってわけ。ですからね、マックさん、イスラエルには世界のあらゆるタイプの美女がいるんです。」
ふうむ。ざっくりとした説明だけれど、とてもわかりやすい。
「例えばイスラエルの女の子を口説こうとするじゃない。その時に宗教が障害になるってことはないのかな?」
「それはあります。でも、他の宗教もそうですけど、信仰の度合いは信者によってまちまちです。ユルい人もいれば、ものすごく厳格な人もいる。セックス観も同じで、欧米並みにオープンなのもいますし、男女は同じ部屋の空気吸っちゃいけない、みたいな世界もあります。お互い触れ合っちゃいけなくて、シーツの真ん中に丸い穴が開けられてたり、とか。」
し、シーツに穴、ですか、。
「僕の場合は、やっぱり少しおカタいぐらいの女の子の方が口説きがいがあるかなあ。ソウイウコトはキソクでダメなんです。とか言われると、俄然やる気が出ますもん。」
ふむ。やっぱり、成功者になるためには、これぐらいの強引さとチャレンジ精神が必要なのかも知れません。