旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2019年10月11日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

かわいすぎて悶絶する、世界で唯一のネコ劇場 ~二度目のロシアはモスクワの旅 Vol.2

気まぐれなネコちゃんが芸をしてくれるなんて、信じられますか?zoom
気まぐれなネコちゃんが芸をしてくれるなんて、信じられますか?
モスクワで劇場といえば、バレエやオペラが上演される『ボリショイ劇場』。サーカスもやっぱり『ボリショイサーカス』が思い浮かびます。しかし、モスクワっ子が小さい時から親しんでいるのは、ステージにたくさんのニャンコが登場し、サーカス顔負けの演技を見せてくれるネコ劇場なんだとか。そんなウワサを聞きつけて、出掛けてみました。

世界中のネコ好きを魅了する存在
劇場の名は、『Moscow Cats Theatre(モスクワ・キャッツ・シアター)』こと『Kukulachev Cats Theatre(ククラチョフ猫劇場)』。ボリショイサーカスで活躍したユーリー・ククラチョフさんが1990年に創設した世界初、さらには世界唯一のネコ劇場なのだそうです。
小さいながら、バルコニー席もある劇場。平日でも満席になることは珍しくないそう。zoom
小さいながら、バルコニー席もある劇場。平日でも満席になることは珍しくないそう。
常設劇場があるのはモスクワですが、欧米ツアーでは大好評を博し来日したこともあるのだそう。世界中にククラチョフさんと彼のニャンコたちのファンがいるといいます。
それにしても、あの気まぐれなニャンコが人間の言いなりになってステージで演技をするとは、にわかには信じられません。「無理やり、やらされているのではないかしら」「リードを付けて引っ張られたりしていたら、かわいそう」。そんな心配もよぎります。

演技、それとも遊び? どちらにしてもかわいい!
劇場を訪れたのは土曜日の午前の部。小さいながらバルコニー席もあり、200席ばかりのシートは子ども連れのファミリーでほぼ満席。ネコ耳のカチューシャを付けたり、ネコペイントを施した小さな子どもたちの姿も。そしていよいよお待ちかね、主役のニャンコたちの登場です。
その一生懸命な姿に、拍手喝采!zoom
その一生懸命な姿に、拍手喝采!
ステージには10匹近くのニャンコがかわるがわるやって来て、ポールによじ登ったり、ボールで遊んだり、綱渡りや平行棒の演技を見せてくれるコもいました。時々、お相手をするピエロの手をするりとすり抜け、舞台袖に引っ込んでしまうのはご愛敬。「ダメよ、そっちじゃないのよ~」と、思わずこちらも声が出てしまいます。当初心配していた無理やり感は全くなく、じゃれ合っている様子なのがほほえましい。普段ちゃんとかわいがってもらっていることが伝わってきました。
なにをしてもかわいい。キャストの思い通りに動かないところも、またかわいい。zoom
なにをしてもかわいい。キャストの思い通りに動かないところも、またかわいい。
バギーを押してちょこちょこ歩いたり、大きな鍋に出入りする姿にも悶絶します。
公演は休憩を挟み約2時間。終了後に流れるショートムービーでは、ニャンコたちのトレーニングの様子や普段の暮らしぶりが紹介されるので、お見逃しなく。現在、創設者のユーリーさんが舞台に立つことはなく、若いスタッフに引き継がれているとのこと。ユーリーさんの方は動物の保護活動家として、たびたびメディアに登場しているそうです。また、公式サイト(末尾に記載)では、かつて彼が舞台に立っていたころの映像も紹介しています。
芸達者なキャストたち。ニャンコとの信頼関係が伝わってきました。zoom
芸達者なキャストたち。ニャンコとの信頼関係が伝わってきました。
チケットは事前予約が確実
ネコ劇場があるのは、モスクワの環状線にあたる地下鉄5号線『キエフスカヤ』駅から徒歩20分くらいの場所。もうひとつの最寄り駅『クトゥーゾフスカヤ』駅からは徒歩10分くらいで着くようなのですが、地下鉄の乗り換えがうまくできず何度も行ったり来たりしてしまい、結局は『キエフスカヤ』駅からタクシーを使いました。迷わなければ、モスクワの中心部から30~40分あれば十分たどり着けます。また、『キエフスカヤ』はターミナル駅で、ショッピングセンターや大きなスーパーマーケットもあるので、帰りに食事やショッピングを楽しむには便利です。
シートもドアノブもネコ尽くし。ロビーではグッズの販売もあります。zoom
シートもドアノブもネコ尽くし。ロビーではグッズの販売もあります。
チケットは500~1,500ルーブル(約1,100~3,200円)。週末は家族連れが、平日は子どもたちの団体が多いらしく、当日券は売り切れのこともあるそうなので、事前予約をおすすめします。前売り券は街なかのチケットショップやネットからも購入できるとの情報がありましたが、前日にホテルのコンシェルジュに取ってもらいました。

世界唯一のネコ劇場、再びモスクワを訪れる機会があれば必ず再訪し、一番前の席に陣取って観たいと思っています。気まぐれなニャンコがステージから脱走し、近くにやってきてくれるのを期待しながら。

●Moscow Cats Theatre(モスクワ・キャッツ・シアター)
Kutuzovskiy Prospekt 25, Moscow
http://xn--80aaahmc7aaj1ctcp3d.xn--p1ai/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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