旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2019年9月30日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

歩いてみる『キングダム』と象山の街

象山影視城の入り口zoom
象山影視城の入り口

キングダムの時代背景
紀元前245年、春秋戦国時代の中国は7つの国に分裂しており、峻烈な抗争が500年も続いた頃です。西方の「秦国」がテーマとなる映画「キングダム」は奴隷の身分の少年2人が、高みを目指していく物語です。大将軍を目指す信(しん)と、中華統一を目指す嬴政(えいせい)が活き活きと描かれます。嬴政は異母弟成蟜(せいきょう)に奪われた玉座奪還のために信とともに王宮に向かいます。山の神である楊端和(ようたんわ)と山民族末裔の河了貂(かりょうてん)を仲間にして戦う場所は、王宮の内庭です。

「夢があるから強くなれる」と言葉を発し、剣を掲げて信の跳びあがるシーンが目に焼き付いたまま訪れたのは、中国浙江省寧波市象山県の「象山影視城」です。王宮のスケールを表現できる中国屈指の規模を誇るロケ地です。

寧波から映画村へ
成田空港から唯一の直行便SPRING JAPAN(春秋航空日本)で寧波礫社(にんぽーれきしゃ)国際空港に降りたちました。空港から南へ車で1.5時間走ると「象山影視城」が現れます。映画村というよりは、ひとつのテーマパークのようなたたずまい。2005年にできた園内は、784平方キロもの敷地に5つのテーマのエリアが用意されています。多くのアトラクションは屋外ですので、訪れる際には、夏暑く冬寒いことを考慮した旅の準備が必要です。

映画のシーンを辿る
最初に向ったのは、古戦場です。数多くの映画で戦いのシーンが繰り広げられた場所になります。キングダムでは、成蟜が8万もの自軍の兵に向けて閲兵する圧巻の場面。誰もが兵が整列する広がりを初めて目にしてその強固な力を思い知ることでしょう。見学は兵の位置する場所からになりますが、後背に山を頂く中国の広大な古戦場のシーンが浮かびあがります。成蟜が、兵を鼓舞する場面では、片手を掲げるだけで一瞬にして動きを止めることのできる権力を知ります。戦う相手の大きさで、見るものをも震え上がらせます。

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古戦場の広さがわかるこの風景

山の神 楊端和を先頭に一行が王宮に繋がる回廊を行くのは朱亀の門です。その先に宮殿が続きますが、開戦を前に仲間の戦意を整えます。端正な楊端和の歩く姿が美しく思い出されます。

王宮に繋がる朱亀の門の様子 左手にはキングダムの撮影を紹介する看板が立ちますzoom
王宮に繋がる朱亀の門の様子 左手にはキングダムの撮影を紹介する看板が立ちます

クライマックスシーンヘ
続くのは、玉座奪還に向けて戦うシーン。この影視城では、桃園行宮と呼ばれています。敷地面積は10,585㎡で、城壁、城門、前庭、裏庭、本殿、廊下と建築面積13,695㎡のからなる施設。クライマックスを迎えるのに相応しい場所です。信と嬴政が率いる兵はおよそ3,000人。27倍もの数の相手勢に立ち向かう戦局のすさまじさが描かれます。紀元前の当時、武器は剣のみ。両手でさばく剣術も見ものです。

クライマックスシーンの場となる王宮内庭zoom
クライマックスシーンの場となる王宮内庭

映画村で楽しめるあれこれ
この3ヵ所のロケ地には、画像とともに日本語で説明文が加えられた看板があり、映画のシーンを思い起こすことができます。

どっぷりとキングダムの世界に没入したあとは、数々の映画の世界を満喫しましょう。漢服の着用や映画音声吹き替えなどができる体験型の施設があります。また、所属の芸術団によるパフォーマンスなども見ることができる盛りだくさんのテーマパークです。

映画のセットを見るには民国城区がおすすめ。中華民国時代の活気ある街の様子が再現されており、歩いているだけで映画の出演者になったような気分になります。建物が精巧な造りであることに加え、車やオートバイなどの小物も配され、インスタ映えすること間違いありません。

民国城区の様子 映画の世界に入り込むことができますzoom
民国城区の様子 映画の世界に入り込むことができます

象山の海鮮市場へ
映画村の近くには、中国最古の海洋漁業発祥の地と言われる石浦漁港古城があります。店舗の活気が色濃くなる夕刻、石畳の回廊を巡るこの場所はには、見たことのある光景が広がります。伊香保温泉の石段街や、台湾の九份が思い起こされます。また、フランスのモンサンミッシェル大聖堂へ向かう石畳も琴線に触れる場面としてよみがえります。そぞろ歩きしながら、石畳の両側に広がる海鮮屋台を見て回るのも楽しいものです。

宿泊は象山石浦半島酒店(Peninsula Hotel)
象山でお勧めできるホテルは、象山石浦半島酒店(Peninsula Hotel Ningbo)。石浦漁港に程近いのどかな港町にある25階建て5つ星の高層ホテルです。
212室ある部屋の高層階からは、石浦港の先に、海峡を経て対岸の南田島まで見渡せます。象山影視城まで20キロの距離は、拠点とするにはいい場所です。

石浦漁港市場の様子(左上)、象山石浦半島酒店外観(左中)、25階エグゼクティブフロアとその眺め(左下)、右は『キングダム』ポスターzoom
石浦漁港市場の様子(左上)、象山石浦半島酒店外観(左中)、25階エグゼクティブフロアとその眺め(左下)、右は『キングダム』ポスター

映画のロケ地観光も楽しい旅のスタイルです。

協力:日本春秋旅行社 ⇒ http://www.springtour.co.jp/
        象山影視城     ⇒ http://www.xsysc.com/index.html
参考:象山石浦半島酒店    ⇒ http://www.peninsulahotelningbo.cn/

関連情報:『キングダム』11月6日発売
ブルーレイ&DVDセット プレミアム・エディション【初回生産限定】7,990円(税別) 
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
『キングダム』公式サイト ⇒ https://kingdom-the-movie.jp/

注)象山影視城では、個人の訪問で王宮戦闘シーンを見ることはできません。
詳しくは日本春秋旅行社にご相談ください。

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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