旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2019年5月4日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

人生を楽しもう!~カナダ・ケベック州へ~④アートシティ、モントリオールを歩く

ウォールペインティングが町にPOPな彩りを与えていますzoom
ウォールペインティングが町にPOPな彩りを与えています
2018年6月から成田からの直行便が就航しているモントリオール。モントリオールの魅力は四季を通じて多彩で紹介しつくせません。でも、私がこの町で一番好きなところは、なんとなく肩の力が抜けていて、しかも若いエネルギーが感じられるところです。

今回は、朝から一日かけて、そんなモントリオールの町をぐるっと歩いてみようと思います。

モントリオールの中心地の駐車場やパブリックスペースの壁面にはたくさんの巨大壁画が描かれています。ただの落書きではなくて、新進気鋭のアーティストによる立派な作品。個性さまざまで、アーティストが自由に描いていることが感じられます。
「あそこにも、あ、ここにもある」という感じの数の多さで、そのうち町の壁面が全部、絵になってしまうのではないかと思うほど。これを見るだけで、りっぱな観光です。かの有名な覆面アーティストのバンクシーもびっくりでしょう(笑)。朝の人通りが少ない時間ならば、一つ一つ絵をゆっくり鑑賞することができます。

特に壁画が多くみられるサンローラン大通り(Saint-Laurent Blvd)では、今年は6月6日から16日まで、その名も「Mural Fest 2019」=「壁フェスト2019」というお祭りが開催されます。ライブミュージックとモントリオールの美味を集めた屋台グルメ、ゲストアーティストによる新しいウォールペインティングのお披露目で、町が盛り上がるといいますから、こういうイベントに合わせて出かけるのも楽しいですね。
朝食はカプチーノとパンオーショコラでzoom
朝食はカプチーノとパンオーショコラで
肩の力が抜けているなと感じるのは、あちこちにあるカフェでも思うところです。

ホテルの立派な朝食は「海外旅行に来た!」というひとつの楽しみではありますが、そこに暮らす人々が見せる日常の何気ない風景を感じるのも旅の醍醐味です。優しい朝日が差し込む広いスペースのCafé Satはそんな場所でした。ただゆったりしているだけではなく、カプチーノは気合を入れて、スワンや玉ねぎやお花など素晴らしく凝った模様を作って出してくれます。パンオーショコラやクロワッサンもパリのパン屋で食べるように美味しく、一日のエネルギーを充てんできます。

SATという変わった名前は the Society for Arts and Technologyの略で、今を時めくデジタルアートと技術を研究するNPOの経営みたいです。どおりで、お客さんもアーティストっぽくお洒落なカフェでした。

Café SAT
http://sat.qc.ca/en/sat-cafetréal
好天に誘われて、ベルタワーの屋上レストランに行ってみましたzoom
好天に誘われて、ベルタワーの屋上レストランに行ってみました
お天気がよかったので、モントリオールの町の中央にあり、360度見渡せる一番高い展望台、Observatoire Place Ville Marieに上ってみました。
高さ185メートルから見下ろす気分の良さ。「やっぱり平らだなぁ」と、標高233メートルのモン・ロワイヤル(Mont Royal)山をモントリオール子が誇りにしているのは理解しつつ、空が大きいというか、正直そう思ってしまいます。

モントリオール市はトロントに次ぐ第2の都市です。周辺地域を含めても人口は約380万人。高層ビル群があってもどこかゆったりしています。移民がヨーロッパから渡ってきたセントローレンス川の流れは感慨深く、さらに、はるか遠いところまで見渡すことができます。

ところで、この展望台にはレストラン「Les Enfants Terribles」もあります。もちろん眺望は抜群! しかも、ケベック料理ということですが、シーフードが特に美味しくて、昼間からワインが進んでしまいました。

Observatoire Place Ville Marie
https://www.observatoire360.com/en/360-observatory/

Les Enfants Terribles
https://www.observatoire360.com/en/les-enfants-terribles-restaurant/
人気のNewスポット、BOTABOTAスパzoom
人気のNewスポット、BOTABOTAスパ
さて、腹ごしらえもできた後は、モントリオールで今、一番人気のスパに向かいました。

展望台のあるプラス・ビル・マリーからは東へ約2キロ。セントローレンス川沿いのOLD PORTの冬景色はうらぶれた港というか、ちょっと寂し気です。でも、そこにあやしく?浮かぶボートは、今、モントリオールでもっともホットな「Bota Bota spa-on-l’eau」。係留された船の中やオープンデッキは、ジェットバブルバスからサウナ、マッサージ室、レストランなど完璧なスパに改装されていました。港側にもプールやリラクシングルームがあり、「私は今日1日ここにいます」と話す人がいたほど、ゆったりすごせる都会のオアシスのような場所です。若いカップルも仲睦まじく港の景色を眺めながら、湯につかっていました。

あ、ケベックシティのStroam Spa同様、ここもおしゃべりは最小限にとどめるように指導されます!? こういう時間を旅でも大切にしたいなと思わずにいられないスパです。

Bota Bota spa-on-l’eau
https://botabota.ca/en/
358 rue de la Commune Ouest, Quais du Vieux-Port de Montréal
ここはどこ?カフェ??ゆったり午後のひとときをすごすzoom
ここはどこ?カフェ??ゆったり午後のひとときをすごす
モントリオールにはもちろんすばらしい美術館や博物館もあるのですが、「ここは美術館?何?」と驚いた場所があります。Bota Bota spa-on-l’eauから旧市街へ戻ること約1キロ。
「Crew Collective and Café」です。

入口からして重厚な建物は歴史的建造物。1928年に建てられた「Royal Bank of Canada」の本店1階です。一般的なカフェ同様、誰でも自由に入店して、一般の家の3階分の高さがありそうな高い天井のゴージャスなホールで香り高いコーヒーを味わうことができます。それと同時に、メンバーになってプライベートなスペースを借りて、そこで好きなだけ仕事をすることも可能という、太っ腹な施設です。

日本でも人気の高い「Unsplash(アンスプラッシュ)」の姉妹会社「Crew」がこのアイディアを実現しました。そもそも、アンスプラッシュは、プロの写真家が提供した写真データをオンラインで無償で使用することができるというカナダ発の会社です。将来はクリエイター同士の大きなプラットフォームへ進化したいという思いでビジネスを進めているそうです。なんだかとてもカジュアルな雰囲気のカフェなのに、その舞台は歴史と伝統の最もお堅そうな銀行の本店というミスマッチが最高!

日本で、丸の内の○○銀行の本店を「カフェに貸してください」と言ったら、実現できるのだろうか、という想いも含め、ケベックに脱帽のカフェでした。

Crew Collective and Café
https://crewcollectivecafe.com/
360 St. Jacques,
昼も夜も楽しめる観覧車はいかが?zoom
昼も夜も楽しめる観覧車はいかが?
一日良く歩きました。また、世界一長い地下街を持つメトロにも乗って、寒くなくて利用しやすいことがよくわかりました。
本日最後の観光は、ロマンチックな観覧車でしめましょう。

再びOld Portに戻りました。ビル・マリーの展望台ほど高さはありませんが、観覧車って楽しいですよね。高さ60メートルですが、港に立っているので、展望は間違いなくすばらしいです。乗るなら42番がおすすめ。VIPゴンドラらしいですが、足元がガラスになっていて、なかなかのスリルも味わえます。

一日歩き回ったモントリオールの町は夕闇に消え、町はオレンジ色の灯りに輝いていました。「いいなぁ、モントリオール!」。とにかく自由な空気にあふれ、今日も幸せな時間でした。

La Grande roue de Montréal
https://www.lagranderouedemontreal.com/en
362 de la Commune Street East
Montreal

取材協力:Tourisme Montréal 
フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。
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