旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2019年3月30日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

人生を楽しもう!~カナダ・ケベック州へ~ケベックシティ氷点下編⑤

ぜひ足を運んでいただきたいMaguire通りzoom
ぜひ足を運んでいただきたいMaguire通り
~ケべコワの暮らしを知るなら、マグァイア通り(Avenue Maguire)へ!~


 ケベックシティは主要な観光名所には徒歩で行くことができる、ほどよいサイズの町です。食事や買い物をするなら、北米最古のショッピング通りとして名高い「プチ・シャンプラン通り」をはじめ、思わずショーウィンドウの前で足を止めてしまうお洒落な店がいくつもあります。
 しかし、どんな国でも、食べることや飲むことに関心の高い地元の人たちは、観光客があまり足を踏み入れない、とっておきの店を知っているものです。ケべコワはふだん、どんな店に通っているのでしょう。
 それが旧市街から約4キロ南に行ったシレリー地区にあるマグァイア通りです。ネットで通りの名前を調べてみると、建設中の高級なコンドミニアムの宣伝が出てくるので、多分、通りの注目度がアップするにつれて、高級化が進んでいるのだろうと想像しました。
 可愛い小売店もありましたが、「花より団子」。限られた時間の中、カフェなどを少しのぞいてみました。
壁画の店は手作りのチョコレート屋さんです。zoom
壁画の店は手作りのチョコレート屋さんです。
 マグァイア通りの一番の魅力は、ここにしかないユニークな店や専門店が集まっていることです。積雪がとても多くて、通りの景色を見るより足元に気を取られていましたが、いつの間にか次はどんな店かしら、とワクワクしてきました。
 それは、それぞれ美味しい!ということはもちろんですが、ほとんどの店が家族経営を基本としている中で、店員さんがたとえ家族でなくても、オーナーの想いを代弁するように、外国人観光客の私にもきっちりコミュニケーションを取って、それぞれ魅力を伝えてくれる店ばかりだったからです。なんとも心地よい通りです。


・マグァイア通り
https://www.sdcmaguire.com/en/maguire-quebec-city-avenue/
若き経営者のアニャさん。世界各国から豆を仕入れています。zoom
若き経営者のアニャさん。世界各国から豆を仕入れています。
 町歩きでちょっと一息つきたい時、お洒落なカフェを見つけると嬉しいものです。ケベックシティの旧市街には、あのホテル ルシャトーフロントナックに「スターバックス」がありました。外国人観光客としては安心して入ることができるという点でうれしいのですが。
 もしマグァイア通りに行ったら、カフェカステロ CASTELO MAGUIREに行ってみてください。
 クオリティは折り紙付き。1996年に会社が設立され、最高のグルメコーヒーを出しています。世界各国から集めたこだわりの豆を焙煎して販売することに主眼を置いています。「土産に買って帰りたい」と話すと、豆やローストの好みを細かく聞いてくれて、袋詰めした後、「冷蔵庫に入れず、常温でこの袋のまま保管してくださいね」と説明してくれました。言われた通りに保存して1か月後に飲んでみましたが、確かに薫り高くて、感動!
 オーナーのアニャさんは若きスタートアップの経営者としても注目を集めているそうです。

・カフェカステロ CASTELO MAGUIRE
(https://www.cafecastelo.com/)
フォアグラやリエットならこちらへ。zoom
フォアグラやリエットならこちらへ。
 フランスの香り高い料理の代表格と言えば、フォアグラでしょうか? ここはフレンチカナダのこと、フォアグラを食べないわけにはいきません。
 「ル カナール グウル LE CANARD GOULU」は小さな店ですが、店内にはフォアグラのブロックをはじめ、日本に持ち帰りができるペースト状のフォアグラの瓶詰やカモのリエットなど、所せましと並んでいます。
 フォアグラのメープル添え、トリュフ添え、アルマニャック漬けなど、さまざまな種類のフォアグラを店員さんがフランスパンの薄いスライスにつけて試食をさせてくれる、なんと贅沢な店でしょう。
 どれも優しい味で、昼からワインが飲みたくなること必至です。

・ル カナール グウル LE CANARD GOULU
(http://canardgoulu.com/)
生地は日本にも輸出しているらしいベーグル屋さん。zoom
生地は日本にも輸出しているらしいベーグル屋さん。
 薪のオーブンで休むことなく焼き続けるベーグルの香ばしい香りが漂う店内。
こちらのベーグルはケベック一美味しいという評判もあります。
「ベーグルマグァイアカフェ BAGEL MAGUIRE CAFÉ」は朝食の時間から客がひっきりなしにやってきます。
30年前、創業者のフランソワはケベックシティにベーグル工場を作ろうとしましたが、
「世界遺産の旧市街に薪のオーブンなんて許しません」ということで、最終的にこのマグァイア通りに落ち着きました。今や、この店のベーグルを食べる為にマグァイア通りにやってきた人が「こんな通りがあるんだ」と新たな発見をするという良い循環が生まれる程有名な店に成長しました。
 もちもちっとした歯ごたえの焼きたてのベーグル、最高です。

・ベーグルマグァイアカフェ BAGEL MAGUIRE CAFÉ
 (http://www.bagelmaguirecafe.com/)
ケベック名物プーティンを食べるなら、こんなレトロな店はいかが?zoom
ケベック名物プーティンを食べるなら、こんなレトロな店はいかが?
 ファストフード店「パットレトロ PAT RÉTRO」という名は、店の扉を開けた瞬間に「なるほど!」と納得します。
(http://patretro.com/)

 ポップな店内で、レトロなジュークボックスや日本では「ベティーちゃん」という愛称で親しまれているベティ・ブープの人形、そして、映画「アメリカン・グラフィティ」から抜け出たようなおねぇさんが笑顔で迎えてくれます。
 1960年にシルリー地区の近所にグアイ夫妻が自家製のフライドポテトのスタンドを開店したのが最初。その後、店は家族が引き継ぎ、フライドポテトだけでなく、ミートローフやハンバーガーなどのメニューも増やして、地元で人気になりました。同時に長年にわたって、ペプシコーラに関連するアンティークやジュークボックス、アンティークのトラックなどを収集して、ここにしかないユニークな店の雰囲気を作っています。
 ケベック料理「プーティン」というジャガイモのグレービーソース掛けも、なんと18種類もあるとか。 カナダのファストフード店と言えば「ティムホートン」が有名ですが、朝6時半から夜8時まで開店しており、地元になくてはならない印象です。

・パットレトロ PAT RÉTRO
(http://patretro.com/)


取材協力:ケベック州観光局(https://www.quebecoriginal.com/en)
フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。
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