旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2019年3月28日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

人生を楽しもう!~カナダ・ケベック州へ~ケベックシティ氷点下編③

ケベックシティの夜明けとセントローレンス川zoom
ケベックシティの夜明けとセントローレンス川
~セントローレンス川のほとり、Strøm spaにて~

 ケベック・ウィンターカーニバルは土曜日に終わります。
やはりケべコワは人生の楽しみ方を知っているなぁと思いました。
だって、大騒ぎした祭りの後に日常生活に戻る時、一日は休養が必要ですよね。
 
快晴の日曜日の朝。シーンと静まり返った町を抜けて、セントローレンス川のほとりに立つ「Strøm spa nordique」に行きました。

ストロームスパロビーzoom
ストロームスパロビー
 初めて訪れるケベックシティなので、他の季節のことはわかりませんが、私はホテルの窓から見えるセントローレンス川の流れに目を奪われて、一目でこの小さな古都の大ファンになりました。川の流れは通常はアメリカ側の右から大西洋側の左へ、満潮時は逆に左から右に流れを変えます。川と言っても、一日に潮位が4メートルの変わるのだそうです。
 川の流れが何故わかるのかって?それは、この季節、川には一面流氷が漂っているからです。
セントローレンス川は、水源である北米大陸の五大湖と大西洋を結んでセントローレンス湾に注ぐ世界第2位の水量を誇る大河です。カナダのオンタリオ州とアメリカ合衆国のニューヨーク州を隔てる国境になっています。オンタリオ湖からの川の長さは約1200キロ。さらに奥の水源からは約3000キロという長さです。
 まもなく大西洋にそそぐ、川幅の細くなったところにケベックシティがあります。
青空の下、インフィニティプールにつかる幸せzoom
青空の下、インフィニティプールにつかる幸せ
 対岸のレヴィまでフェリーで10分。船で往復してみるのもおススメです。寒さを我慢すれば、流氷越しに見るケベックシティの全貌は特別です。
 でも、暖ったまりながら、ケベックシティの冬の最高の景色を堪能することができるのは、まちがいなく、この「Strøm spa nordiqueストロームスパ」でしょう。

川にただよう流氷気分を味わうzoom
川にただよう流氷気分を味わう
 川に沿って作られた温水プールを含めて屋外にプールは3つ。晴れていても水着の上にフード付きバスローブをつけているだけでは一刻も早くプールに飛び込みたい寒さです。
 中央の建物の軒先には長い氷柱が伸びていました。温水と外気の差があまりに大きいせいか、ものすごい勢いで水面から湯気が上がり、プールに使っている人の姿はほとんど見えません。
 とにかく暖まりたい一心でプールに入ると、なんとインフィニティプール!!ホ~っと、首まですっぽり浸かることのできる深さの暖かいお湯の向こうに、流氷がゆらゆら流れるセントローレンス川がありました。
あまりの感激に、「キャーキャー」歓声を上げてしまったら、しずしずと係の方が近づいてきました。
「どうぞお静かに」
「ごめんなさい」

流れるプールとガラスに囲まれたリラクシングルームzoom
流れるプールとガラスに囲まれたリラクシングルーム
 四六時中話すことをやめないような欧米の方々のエネルギーに驚くことはしばしばありますが、このスパは静かです。
 セントローレンス川のほとりの自然を5感で探るかのように、誰も話をしません。
スパの建物の中には、死海のように身体が自然と浮かび、その浮遊感を楽しむ高濃度の塩水プールや流れに身を任せる「流れる」プール、サウナやリラクシングルームなど充実した施設が整っていました。
 気が付けば、入口には、たいてい「Silence, Sil vous plait!」つまり、「お静かに」というプレートがかかっていました。「だからですね」と納得。
夏なら屋外のゆりかごもOKzoom
夏なら屋外のゆりかごもOK
 ここのスパは最高です!
川を漂う流氷になった気分で一日過ごしたい。

 リラクシングルームの天井に卵型のゆりかごがいくつもぶら下がっていました。皆、お母さんのおなかの中にいるように、すっぽりと包まれて目を閉じていました。
私も試してみました。静かに揺れるゆりかごの心地よさに、カクンと眠りに落ちました。

「Strøm spa nordique」(https://www.stromspa.com/vieux-quebec/boutique/en

取材協力:ケベック州観光局(https://www.quebecoriginal.com/en
フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。
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