旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2019年3月28日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

人生を楽しもう!~カナダ・ケベック州へ~ケベックシティ氷点下編②

巨大な雪像や氷の彫刻が並ぶメイン会場zoom
巨大な雪像や氷の彫刻が並ぶメイン会場
 ~ケベックシティの冬のお楽しみ~

 2月初旬から中旬にかけて開催されるウィンターカーニバル(Carnaval de Quebec)が根強い人気です。

 このお祭りの第一回は1894年。世界各地で開かれているウィンターカーニバルの中でも、最古の歴史を誇っています。モナコのグレース王妃はじめ、海外の賓客がはるばるお越しになったこともあるそうです。実は、札幌の雪まつりは、このケベックのウィンターカーニバルをお手本に作られたという話も聞きました。

 今、世界三大冬まつりは、このケベック、中国のハルピン、札幌だそうです。
でも、札幌の雪まつりのようにドカンと並ぶ巨大な雪像を見学するというより、町中に並ぶ氷の彫刻や雪像を見るだけでなく、ファミリーで屋外で楽しもう!というイベントのように感じました。

 子供は雪を固く凍らせた上にカナダ特産のメープルシロップを流し、棒で巻き付けて作るメープルタフィを食べるのに夢中。大人は、赤ワインとブランデーにメープルシロップを加えたアルコール度数25度というカクテル「カリブー」を片手に氷の彫刻の間をのんびり歩くという平和な風景。ところで、この「カリブー」は、その昔、トナカイの一種のカリブーの血を先住民族が飲んでいたというところからヒントを得たカクテルだとかで、カーッと身体が温まります。「Chic Choc」という地元のホットラムも人気でした。
ウィンターカーニバルの主役ボノムは大人気zoom
ウィンターカーニバルの主役ボノムは大人気
 カーニバルのシンボルは「ボノム(Bonhomme)」。フランス語で「良い男」!? 祭りの期間中、町中至るところで見かけるこの雪男は、正直ちょっと顔が怖いですが、地元で絶大な人気を誇っています。
 身長7フィート、体重400ポンドの雪でできており、赤い帽子をかぶり、腰にはケべック伝統の矢の模様のサッシュを巻き、祭りにやってきます。ボノムを見れば、皆が写真を撮りたがり、行列ができます。
 そして、「Bon jour!」と言えば、「Bon Jour!!」と返してくれるような、きちんと話もできる楽しいキャラクターです。

シルクドソレイユのおひざ元、幻想的なパフォーマンスzoom
シルクドソレイユのおひざ元、幻想的なパフォーマンス
 今回は10日間のウィンターカーニバルの最終日に間に合いました。それだけでラッキーでしたが、期間中は毎日イベント盛りだくさん。凍り付いたローレンシャン川で開催されるカヌーのレースがあるらしいのです。テレビの生中継があるほど迫力満点で、祭りのハイライトの一つだそうです。次回はぜひこれを見たいなぁ。!

 それにしてもケべコワ(ケベックの人たち)は、冬の寒さを避けて家でジッとしているなんてことは全く頭に無いようで、外に出て、心も身体も暖まろう!という人たちだなぁとあらためて感心!

コミカルでアクロバティックなフロートが続きましたzoom
コミカルでアクロバティックなフロートが続きました
 ケベックウィンターカーニバル、私の中のハイライトは夜のパレードでした。

 毎年15チームとフロート(山車)が30台参加し、思い思いのパフォーマンスを繰り広げます。それがとにかく幻想的! 街にイルミネーションが点灯し、パレードのフロートが通る道路沿いの建物はライトアップされ、怪しく浮かび上がります。一段と冷え込んだ空気のなか、沿道に8万人とも言われる人たちの大歓声に応えるように、さらなる大音量ときらめく光の競演。州議会前の大通りを、夢のような世界を繰り広げながら、フロートが次々に進んでいきました。

 ケベックと言えば、世界的に有名なあの芸術的なパフォーマンスグループである「シルクドソレイユ」が誕生した場所です。パフォーマーたちの踊りもアクロバティックなだけでなく、とてもしなやかな動きで、うっとりするほど美しいです。このパレードは必見!!
祭りが終わって、お店は本番!?人気のクラフトビールの店zoom
祭りが終わって、お店は本番!?人気のクラフトビールの店
 パレードは一時間も続いたでしょうか。
祭りの終わりは物寂しいとよく言いますが、ケベック・ウィンターカーニバルには第二部が用意されています。

 会場を後にして、、向かったのは、ケベックシティで人気の美味しいビールの店。Brasserie Inox。
さまざまな種類のビールを楽しみ、祭りの余韻を味わうことになりました。
クラフトビール片手にアイスホッケー中継を観戦zoom
クラフトビール片手にアイスホッケー中継を観戦
 私は「ボック」と呼ばれる冬限定のちょっと濃い目のビールに挑戦。
ケベックの食べ物、飲み物はお世辞でなく、本当にどれも美味しいのです。
 ビールを飲んでいると、誰かが歌いだしました。
あれ?ここはカラオケ屋さん?NHLのアイスホッケーの生中継もやっているから、スポーツバー?
 何だかわからないけれど、とにかく寒さを吹き飛ばせ!!という気概が伝わる一夜でした。

 ケベック・ウィンターカーニバル、来年2020年は2月7日から16日まで開催されます。
https://carnaval.qc.ca/en

取材協力:ケベック州観光局(https://www.quebecoriginal.com/en
フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。
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