旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2019年1月19日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

「ワルシャワ」一日観光でできること

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旧市街にあったワルシャワの文字

19世紀にフレデリック・ショパンやキュリー夫人を生んだポーランド。14世紀から建築された王宮や貴族の館が多く、北のパリと言われる華麗な都市の一面を見せているのが首都ワルシャワです。冬の一日観光は、日の入りが早い為、朝の行動がキーポイント。早くから開館する博物館を最初に持ってくると、効率よく廻れます。

移動はUberで
ワルシャワ市内を縦横に走るトラムやバスを使いこなすには数日の滞在が必要です。短い滞在なので、公共交通機関を避けてUberにしてみました。これがとても便利で安いのです。市内だと15ズロチ(450円)程度で大概の場所に到達できます。徒歩とUberの組み合わせで街を縦横に楽しみました。

ワルシャワ隆起博物館
向かったのは、ワルシャワ隆起博物館。ポーランド中央駅からみて西に位置します。第二次世界大戦中1944年8月、ポーランドとドイツの交戦をワルシャワ市民隆起の歴史として紹介しています。2か月の抵抗で20万もの市民が犠牲となった歴史です。世界でも例のないテーマの博物館です。

平日朝8時の開館(火曜日休館、週末10時開館)は、博物館にしては早いです。入場料は25ズロチ(約750円)。館内で日本語のレコーダーを10ズロチ(約300円)で借りると館内各所の展示品番号を機械に打ち込んで解説を聞くことができます

3階建ての博物館に広がる展示室は、ポーランド人が発揮した歴史の中の誇りが詰まっています。乗り物は隆起に重要な役割を持ちます。ナチス・ドイツのサイドカーなど映画などで見た人もいることでしょう。航空機は室内展示で、Boeing B24リベレーター重爆撃機があり、戦時中の重みを感じることができました。

隆起博物館とその内部zoom
隆起博物館とその内部

ドールハウスミュージアム
次に向かったのは、ワルシャワ中央駅東側に位置する「ドールハウスミュージアム」。ジオラマに興味があるので、このようなミニチュア館には必ず立ち寄ります。ガラスケースの奥には暖かで華やかな世界が広がります。夢の詰まった家を見るのは楽しく、ゆっくりと回りました。

ドールハウスミュージアムの内部zoom
ドールハウスミュージアムの内部

文化科学宮殿
隣接する「文化科学宮殿」はワルシャワ市街のランドマーク。地上114m、42階建ての30階部分に屋外展望台があり入場料は20ズロチ(約600円)です。1955年に建造されたこの建物は、当時のソビエト連邦が建てたというもので、スターリン様式と言われます。ポーランドとロシアの関係は難しいものがありますので、好き嫌いが分れるようです。

当日は、あいにくの天気で展望台からはほぼ真下の一部しか見ることができませんでした。テラスと言うには、屋根と柱が大きく広がって眺望も限定されていますが、外気に触れることのできる場所は気持ちが良いです。

宮殿の全景zoom
宮殿の全景

旧市街へ
中央駅に近い文化科学宮殿から北へ旧市街に。グーグルマップでダウンロードした市街地マップを見ながら歩きます。寒い中でも徒歩がいいのは街の息吹を感じることができるから。市民の生活の様子をかいま見ることができて、車の移動では見過ごしそうなものを発見することも。「1983」と書かれたバスが走り、後ろ姿を写真に捉える事ができました。36年の時を経て現役です。途中、サスキ公園を通り抜けると、年配の方々が散歩しており、そこだけ時間がゆったり流れていました。無名戦士の墓などもあり、銃を持った衛兵ニ名が直立不動の状態で護る様子を見ることもできました。

建築ミニチュア
ドールハウスを見た後にも関わらず、次は建築ミニチュアを見に行きます。「パークミニチュア」の展示は、屋外の空き地に作られていました。
入場料は14ズロチ(420円)。寒い中であまりゆっくりできませんでしたが、ポーランド建築様式や昔の交通、展示される人形の様子から服装も見ることができ楽しめました。

旧市街
王宮前広場は、クリスマスの時期にはクリスマスマーケットが開催される場所。開催前の人が少なくて寂しい感じも、冬のポーランドらしくていいかもしれません。レンガの壁が続く城壁など、建築物の歴史とその修復の様子を目の当たりにして、国によって歴史の捉え方の違う様子を肌で感じました。

旧市街へ抜ける街並み 右下はミニチュアですzoom
旧市街へ抜ける街並み 右下はミニチュアです

カフェへ
長く歩くと冬のワルシャワは寒さが身に沁みます。一軒のカフェを見つけ入ってみました。立て看板が一つあるだけのまわりの建物に同化したささやかなたたずまい。「BOMBONIERKA Cafe & Tea」という店でした。ミルクがたっぷり入ったカプチーノと大ぶりのタルトで身体を休めます。ゆったりしながら旅の様子を回想することができました。

Cafeの中は暖かいzoom
Cafeの中は暖かい

まとめ
かけあしでまわったワルシャワ市街。気温も低く、1年でも一番観光客の少ない時期だったかも知れません。それでも、美しい街を見ることができたことはとても有意義でした。ポーランドの人にとって、日本と同じように大戦で失われたのは大きなものでしたが、人々の「記憶」と「行動」によって世界遺産が登録されたことも、稀有な事例。美しく修復ができた街並みとして心に残る場所でした。

協力:LOTポーランド航空 ⇒ http://www.lot.com/jp/ja/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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