旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2018年12月11日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

ヨーロッパエアライン初導入のドリームライナーでワルシャワへ

長距離に性能を発揮するドリームライナー 写真はBoeing787-8型機zoom
長距離に性能を発揮するドリームライナー 写真はBoeing787-8型機

LOTポーランド航空とは
1928年創業の歴史あるLOTポーランド航空は、日本線就航が2016年と欧州エアラインでは最後発。最新鋭機のドリームライナーと呼ばれるボーイング787-8と-9を合計11機保有しています。

欧州のエアラインではいち早くこの機材を導入し、同社のアジア戦略の拡大と共に、成田空港とワルシャワの直行便が開設となりました。冬ダイヤとなる現在は、週三便が就航しています。2018年になって3機受領した787-9も不定期で成田に飛来します。この冬ダイヤの往路フライトタイムは11時間30分。復路は何と10時間35分。欧州エアラインの直行便で日本から一番近いと謳うフィンエアーのヘルシンキ行きの次に短いフライトタイムはもっと知られてもいいように思います。今回は、プレミアム・エコノミークラスでワルシャワに向かいました。

成田空港でチェックイン
搭乗日は成田空港発のLO80便に使われる機材は、787-9のSP-LSBがやって来ました。成田空港第一ターミナルビルでのチェックインは、ビジネスクラスと同じ優先チェックインのレーンでスムーズに。預け入れ手荷物には赤い優先タグも付けて貰いました。ゲートでも、優先レーンが用意されていますので、早めに機内に向かうことができます。

機内へ
2-2-2配置のビジネスクラスを通り、プレミアム・エコノミークラスの席へ。2-3-2が3列並ぶ21席の空間が広がります。右側窓最前列に座ると、すぐにウェルカムドリンクが運ばれてきました。外を見ると、ロールスロイスとLOTの文字が見えるトレントエンジンがすぐ横に見えています。

クッションと厚手のブランケットとアメニティーがあり、快適な睡眠が期待できそう。シートポケットには、機内誌、免税品の案内、吐袋、安全のしおりの他にペットボトルのミネラルウォーターが入っています。
ひじ掛け前方には、リクライニングとレッグレストを引き出すボタンがあります。実はこのレッグレストは引き出し式でふくらはぎを置いておける一列目の特権。2、3列目は足を乗せるだけのフットレストなので、リクエストするなら最前列がお勧めです。インフライトエンターテインメントは、どの席もシートバックではなくアームを引き出して使うタイプで、10.6インチのタッチスクリーンです。この装備になっているのは、シートピッチが広いという証明でもあります。ピッチが狭いとシートバックモニターでいい訳ですからね。邦画は4本のみですが、洋画で日本語字幕が多くあり、楽しめます。

プレミアムエコノミークラスシート 後ろに続くエコノミー3席の幅に近い2人席zoom
プレミアムエコノミークラスシート 後ろに続くエコノミー3席の幅に近い2人席

機内食のスタート
シートベルトサインが消えると、ドリンクとピーナツのサービスがありました。
同時にメニューが配られるので、食事や飲み物を選ぶのも楽しい時間です。スパークリングワインはイタリアのもの。白ワインはイタリアとアルゼンチン。赤ワインはフランスとスペイン産。他に、スコッチ、バーボン、ウォッカなど8種類と、チョーヤの梅酒やビールはアサヒが搭載されています。更には、ポーランドビールの「Zywiec」も選べます。

和洋食の選択で迷いましたが、肉に惹かれて洋食にしました。欧州では広く知られたポーランドの「カロリーナ」製の陶器でサーブされます。前菜として、フルーツのサラダ、鮭ときゅうり巻サラダの西洋ワサビソース、季節サラダとモッツァレラ。メインには、きのこソースがけ牛肉のフィレ、侯爵夫人のジャガイモ、と茹で野菜がありました。デザートはチョコレートケーキ。コーヒーとスリランカ初の紅茶ブランド「ディルマ」もあって多彩です。肉の柔らかさが印象に残り、プレミアム・エコノミークラスもここまで来たかと思うような素晴らしい食事でした。

一回目の機内食(上)と二回目 どちらもボリュームがありますzoom
一回目の機内食(上)と二回目 どちらもボリュームがあります

客室乗務員
一機に必ず一人以上の日本語を話せる客室乗務員が乗務しています。アナウンスも流ちょうにこなすので、大活躍。日本の国旗バッジを胸につけています。
カタルティナさんは、ポーランドのクラクフにある有名なヤキホ大学で日本語を専攻。文部科学省の招へいを受け、大阪外国語大学で5年間学んでいたとのこと。言葉を通して笑わせる漫才について論文を書いた経歴を持ちます。全国を旅行した中で、沖縄で食べたゴーヤチャンプルーが忘れられないと言う彼女。日本人乗務員のいない事が不利にはなっていません。

ウィタクさんは他社で4年半、LOTでの乗務歴1年半の31歳。仕事が楽しくて仕方がないといいます。休みになるとアジアを中心に世界へ出掛けて土地の文化や食を楽しみます。ベテランのズブルツェツナさんは、8歳のスタニスラウ君を乗務便で面倒を見ながら、今回の日本旅行を実現させました。5日間日本を観光したそうで、一緒に笑顔を見せてくれました。母親の働く姿を見て、将来の糧になることでしょう。

ズブルツェツナ親子の笑顔が素敵ですzoom
ズブルツェツナ親子の笑顔が素敵です

セリンスカさんとバンドゥルスキーさんは、仲良く写真に納まります。仕事が楽しくて、定年の65歳まで働くと話します。皆さん生き生きと仕事をしていて見ていて気持ちがいいものです。

プレミアム・エコノミークラスというこぢんまりした空間で、欧州エアラインの丁寧で落ち着いたサービスをゆったり受けることができ、搭乗していて非常に快適でした。

セリンスカさんとバンドゥルスキーさん(左)と ウィタクさんzoom
セリンスカさんとバンドゥルスキーさん(左)と ウィタクさん

フライトの合間に
就寝する人の多い機内で手洗いに立ち、ギャレーに行ってみるとスナックが置いてありました。あられや、チョコレートバーなどとともに味の素ポーランド製造の「OYAKATA」カップ麺もあって、飽きさせません。各ドリンクとともにセルフサービスで自席へ持っていくことができます。

リクライニングを倒すと、足先まで延ばせて熟睡することができました。
到着は午後。現地ではさほど時間を経過せずに就寝となりますので、比較的短時間の睡眠で起きているほうが、到着後は夜中に目が覚めなくて良さそうです。

到着前の食事は、改めて昼食です。洋食のエビテリーヌと迷った末に和食にしました。メインは、スズキ目アカメ科のナイルパーチ。紅鮭の昆布巻きや木の葉南京とともに提供されました。デザートは練りきりの和菓子。ワルシャワ到着前に和食で締めることができたので、心おきなく現地の食事を楽しめます。長距離便の二食目は軽くなることがあるのですが、今回は二食ともトレーを埋めるほどの皿があって、しっかりしたメニューでした。

今回は特別にコックピットも撮影ができましたzoom
今回は特別にコックピットも撮影ができました

フライト時間の優位性
多くの欧州エアラインが午前中に東京を出発して、午後に現地に着きます。
欧州の冬の午後は早く暮れますが、14時台と早めの到着であれば、現地で観光する時間が取れます。ワルシャワ・ショパン空港ターミナルビルは一か所で接続便も多く、乗り継ぎに便利です。
来夏スケジュールでは、成田発のこの便は、デイリーフライトになると告知されました。今回の利用で、この欧州快速便の使いやすさがよく理解できました。

協力:LOTポーランド航空 ⇒ https://www.lot.com/jp/ja/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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