旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2017年10月17日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

大統領のクッキーからカラフルジェラートまで、オタワで食べたいスイーツ4品

オタワが発祥のスイーツ『ビーバーテイル』。巨大なトンカツのようにも見える?zoom
オタワが発祥のスイーツ『ビーバーテイル』。巨大なトンカツのようにも見える?
その土地ならではの食材や料理とともに、心ひかれるのがご当地スイーツの存在。もちろん、カナダにもあります。「甘いものは別腹」という人のために、首都オタワでぜひとも訪れてみたいスイーツの店4軒と、オススメのメニューをご紹介しましょう。

ByWard Marketで食べたい、『ビーバーのしっぽ』

カナダを代表するお菓子であり、オタワで誕生したといわれるのが『ビーバーテイル』。その名のとおり、ビーバーのしっぽのように平たくて大きなお菓子です。ルーツは、先住民族の人たちが食べていた『バノック』というパンであるという説が有力。粗挽きの小麦粉をこね、発酵させずに焼くためフワフワ感はなく、モチッとした食感が特徴です。
ByWard Market敷地内にある『Beavertails(ビーバーテイルズ)』1号店。昼前には長蛇の行列ができます。zoom
ByWard Market敷地内にある『Beavertails(ビーバーテイルズ)』1号店。昼前には長蛇の行列ができます。
カナダ最大にして最古のファーマーズマーケットであり、この連載コラムでも紹介しているByWard Market(バイワード・マーケット)で誕生したといわれるビーバーテイルを商品化したのが、店名もズバリ『Beavertails(ビーバーテイルズ)』。現在、カナダ国内に100店舗以上を展開し、1号店はByWard Marketの敷地内に、日本でも自由が丘に出店しています。

平たく伸ばした生地を油で揚げ、シナモンシュガーをまぶしたこの店のビーバーテイルを食べてみると、思ったより引きが強く素朴な味。お好みでクリームやチョコレート、バナナやイチゴなどのフルーツをトッピングできますが、まずは定番のシナモンシュガーで味わってみてください。
●Beavertails
http://beavertails.com/en

いまだ絶大な人気を誇る、アメリカ前大統領の名前を冠したクッキー
オバマ前大統領訪問時の写真を大きく掲げた『Le Maulin de Provence(ル・ムーランド・プロバンス)』。zoom
オバマ前大統領訪問時の写真を大きく掲げた『Le Maulin de Provence(ル・ムーランド・プロバンス)』。
アメリカの前大統領バラク・オバマ氏の名前を付けた『オバマ・クッキー』も、オタワを代表するスイーツのひとつ。カナダの象徴でもあるメープル型のクッキーにこの名前が付いた理由は、2009年2月、在任中のオバマ氏がカナダを公式訪問した際、ByWard Market内のベーカリーに立ち寄りクッキーを購入したことがきっかけ。そのことがあっという間に広まり、店の名物クッキーとなりました。カナダでも彼の人気は未だ絶大で、引退後も店には大きく写真が掲げられ、そのままの名で販売されています。
店の人気を二分する、オバマ・クッキー(左)とジャスティン・クッキー(右)。zoom
店の人気を二分する、オバマ・クッキー(左)とジャスティン・クッキー(右)。
そして現在、オバマ・クッキーと人気を二分するのが、2015年から首相を務め、そのイケメンぶりでも評判のジャスティン・トルドー氏の顔写真入りの『ジャスティン・クッキー』。顔写真の部分ももちろん食べられます。どちらも幼児の手の平くらいあり、クッキーとしてはかなり大きめ。ホロッとした食感で、小麦の香りがしっかりと感じられ、想像以上に美味しいです。

このクッキーが買えるのは、ByWard Market内に店を構える『Le Maulin de Provence(ル・ムーランド・プロバンス)』。地元の人には焼きたてのパンやケーキが人気の店で、約20mの長さがあるガラスケースにはほかにもサンドイッチ、サラダなどが並び、デリコーナーも充実。その場で食べられるテーブル席があり、ツーリストや地元の人でいつも賑わっています。
●Le Moulin de Provence(ル・ムーランド・プロバンス)
http://moulindeprovence.com

デートコースにも人気、イタリア仕込みの高級ジェラート店

ByWard Marketから歩いて数分離れた場所にある『MANTOVANI(マントバーニ)』は、ナポリ出身のファミリーが1946年に創業したジェラート専門店。地元産のフルーツ、ベルギー産のチョコレートなどを原料に、伝統的なイタリアの製法で作るジェラートのほか、ケーキ、キャンディーなども販売しています。店内のオープンキッチンで作っている様子を眺められ、ジェラートの種類は常時20種類以上。季節によって内容が変わり、旬のフルーツを使ったものが人気とか。カフェスペースがありランチも楽しめることから、ちょっとおしゃれな地元っ子のデートコースになっています。
フルーツとチョコレートをふんだんに使った『MANTOVANI(マントバーニ)』のジェラート。zoom
フルーツとチョコレートをふんだんに使った『MANTOVANI(マントバーニ)』のジェラート。
●MANTOVANI(マントバーニ)
https://www.mantovaniicecreamfranchise.com

オタワっ子が大好きな、ふわふわ&クリームたっぷり!のドーナツ

カナダでドーナツといえば、まっさきに名前が上がるのが『Tim Hortons(ティム・ホートンズ)』というチェーン店。国内に3000店以上あり、空港やショッピングモール、街中でも必ず見かけます。いっぽう、オタワにはただ1店舗ながら、地元っ子がこよなく愛するドーナツショップ『Suzy Q Doughnuts(スージーQドーナッツ)』があります。黄色く塗られた外壁が目印の店で、つい最近、その人気から店舗を広げ移転再オープンしました。ガラスケースに並ぶドーナツは、常時25~30種類。オーソドックスな砂糖がけのほか、チョコレート、色とりどりのクリーム、さらにその上にクッキーをトッピングしたものなど。パン生地のふわふわとした食感で、かなりのボリュームです。オタワっ子はランチの後にこれを1個、ペロリと平らげると聞いてびっくり! また、いろいろな種類を箱いっぱいに詰めて、友人宅やオフィスへの手土産にすると、とても喜ばれるのだそうです。
クリームとチョコレートはたっぷりと!が、Suzy Qの人気の理由。zoom
クリームとチョコレートはたっぷりと!が、Suzy Qの人気の理由。
ドーナツが並ぶガラスケースの前で迷っていたら常連客らしき男性が、「カナダのドーナツと言えば、メープル&ベーコンだよ」と教えてくれました。日本人には想像しにくい組み合わせですが、確かにどちらもカナダを代表する味。クリームソースとベーコンも料理ではおなじみの組み合わせです。しかし、それが甘くなったことを想像すると……。1回でこのおいしさはなかなか理解できないかもしれませんが、カナダを旅した記念にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
●Suzy Q Doughnuts(スージーQドーナツ)
https://suzyq.ca

先住民族の食べものがルーツのお菓子から、首相の顔入りクッキー、洗練されたジェラートに、地元っ子が大好きなドーナツまで揃うオタワのスイーツ。せっかくなら、その土地でなければ食べられないものを味わってみたいものです。

取材協力:
カナダ観光局 http://jp-keepexploring.canada.travel
カナダシアター https://www.canada.jp
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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