旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2016年8月12日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

毛沢東が愛した湖畔の別荘地から地元っ子のデートコースまで、武漢市内を散策

水辺の風光明媚な景色が広がる東湖畔。zoom
水辺の風光明媚な景色が広がる東湖畔。
『三国志』ゆかりの地、中国・湖北省の武漢は、内陸部でありながら長江中流域の水辺にあり、みずみずしい景色も楽しめる場所です。

毛沢東もこの地を好み、別荘を設けました。zoom
毛沢東もこの地を好み、別荘を設けました。
代表的なスポットが、都市部の湖としては中国最大の大きさを誇る東湖。かつて毛沢東の別荘があった場所に、いまは素敵なリゾートホテルがあると聞き、朝ごはんを食べた戸部巷からタクシーで足を延ばしました。

ところが、敷地があまりに広くて、目的の建物がどれなのかよくわかりません。運転手さんが敷地内を歩いていた人に聞いてくれましたが、「この場所がそうよ」と(いっていたらしい)いうばかり。
ようやくホテルらしき建物を見つけてなかに入ろうとしたら、国際会議開催のため貸し切り中。しかし、親切なホテルのスタッフが、「湖畔にとても感じのいいカフェがあるから」と教えてくれました。
毛沢東の別荘だった建物は資料館として公開されています。湖畔を散策した後は、カフェでひと休み。とにかく、広いです!zoom
毛沢東の別荘だった建物は資料館として公開されています。湖畔を散策した後は、カフェでひと休み。とにかく、広いです!
湖の周囲に巡らされた遊歩道を歩きながら、そのカフェを目指します。とても暑い日でしたが、湖面を渡ってくる風が心地いい! ボートハウスの様なカフェで地ビールの『雪花』でのどを潤しながら過ごしました。


(とても気持ちのいい場所ですが、蚊にご注意! 虫よけ必携です。中国の蚊は、かゆさがいつまでもしつこく続きます。帰国後、1週間以上悩まされました)



中国のビールといえば青島ビールがまっ先に浮かびますが、武漢でも、ここへ来る前にたずねた重慶でも、街中のレストランやお酒を販売する店で青島ビールを見かけることはありませんでした。ビール一つをとっても、中国のほんの一部分しか知らなかったのだな、と感じることしかり。
歴史的町並みが残る、曇華林地区。1km以上に渡り古い建物が続きます。zoom
歴史的町並みが残る、曇華林地区。1km以上に渡り古い建物が続きます。
一方、旧市街の『曇華林(タンファーリン)』は、共産党時代の建物や洋館が残る場所。古い建物を利用したカフェや雑貨屋などがあり、東京でいうなら谷根千、神戸なら栄町あたりでしょうか? カップルや女性のグループで賑わっています。

牧師の邸宅だった建物が、人気のカフェに。地元の人の生活の場でもあります。zoom
牧師の邸宅だった建物が、人気のカフェに。地元の人の生活の場でもあります。
雰囲気のある洋館のすぐ隣りに学校やアパートもあり、観光地でありながら地元の人の暮らしぶりものぞけるエリアです。

武漢は、イギリス、ドイツ、ロシアなどの租界がおかれた場所。長江に沿って多くの洋風建築が立ち並ぶすぐ向かい側には、武漢っ子の憩いの場所ともいえる『武漢江灘(WUHAN RIVER BEACH)』があります。市民公園のような場所で、対岸の景色を眺めながらのんびり過ごす人、カイトを飛ばしたり、2~4人乗りの自転車で遊ぶ人も。
租界がある武漢江灘。河畔の公園は市民の憩いの場になっています。zoom
租界がある武漢江灘。河畔の公園は市民の憩いの場になっています。
河畔にはフェリーターミナル、遊覧船乗り場も。どこからどこまでが公園なのかわからないほど広い、というよりとにかく長いのです! 敷地内を観光用のトロリーバスも走っていました。時間がなくて30分程度しか滞在できませんでしたが、次回訪れる機会があれば河畔の遊歩道でランニングしたり、自転車を借りて端から端まで行ってみるのもいいかな。

今回、市内の移動手段はすべてタクシーを利用しました。各スポット間の運賃は700円~2500円くらい。目的地を書いた紙を運転手さんに見せれば大丈夫です。みんな飛ばすのでちょっとスリリングですが、効率よく回れます。それに、運転手さんはちょっと見、不愛想ですが親切です。

成田から武漢は、SPRING JAPAN(春秋航空日本)の直行便で約4時間。運賃も5000円~と国内旅行よりリーズナブル。今回、2泊3日の滞在ではまだまだ見足りない感じ。帰国後、改めてガイドブックを眺めながら、次回に訪ねたいスポットをリストアップしています。
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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