旅の扉
- 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
- 2016年8月10日更新
- よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子
三国志ゆかりの地・武漢で屋台の朝ごはん巡り
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- 武漢の朝ごはんスポット、戸部巷。三鮮豆皮を焼く屋台のお兄さんたちとの掛け合いが楽しい!
- 今年6月、SPRING JAPAN(春秋航空日本)で出かけた中国は重慶&武漢の旅。
本場・重慶の衝撃的な火鍋に続き、武漢の朝ごはんは、これだけ食べに出かけたくなるくらい楽しくて多彩な内容でした。
湖北省の州都・武漢は、長江中流に位置する大都市。
「中国のどのあたりにあるのか、まるで見当がつかない…」
という人(かくいう私も、実際に訪れるまでそのひとりでしたが)は、『三国志』の舞台といえばわかりやすいでしょうか。長江と漢江という二つの大河が街の中心部で合流する水運の地であったため古くから商業が栄え、軍事上の要衝としても知られた場所です。
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- ゲートの外まで食欲を刺激する香りが漂ってきます。
- その武漢の朝ごはんスポットといえば、通りの両側150mにわたって屋台が並ぶ『戸部巷(フープーシャン)』。地元の人たちに「朝食は戸部巷、夕食は吉慶街」といわれるここにくれば、地元の人のリアルな食生活を覗き見ることができます。
商業の街として栄えた武漢では、人々は早朝から慌ただしく市場へ出かけなければならなかっため、朝食は自宅で食べるより外で簡単に済ませることが多かったのだそう。そんな土地柄もあり、手早く朝ごはんを食べられる屋台街が賑わうようになったといいます。
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- 約150mに渡りひしめく屋台の数々。食べながら歩く人も少なくありません。
- 地元の人はもとより、最近では観光客にも人気のスポットとなっている戸部巷には、約60店舗がひしめき合い、30種類以上の武漢版ファストフードが味わえます。
まず、外せないメニューが武漢名物の熱干麺。茹でた麺をゴマ油、辣油などを混ぜたピリ辛ソースで和え、肉、香菜など好みのトッピングで食べる汁なし麺は、山西省の刀削麺、四川省の担々麺などとと並ぶ中国の五大麺のひとつ。いわば、武漢っ子のソウルフードとも呼べる存在です。
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- 右の写真の手前が、中国五大麺のひとつ、熱干麺。お好みのトッピングをリクエストでき、ピリ辛ソースがビールと相性抜群! 奧が、三鮮豆皮です。
- もうひとつの名物料理が、冒頭の写真の三鮮豆皮。レストランのメニューでも必ず見かける料理で、湯葉のような生地にもち米と肉、エビ、小さく刻んだタケノコなどを挟んで焼くもの。
大きなフライパンに生地を広げ揚げ焼きにする光景は、時間がたつのを忘れて見とれてしまいます。できあがったタイミングで、焼きたての熱々を買って味わうのが最高!
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- 左上から、カエルの串焼き、黒いのはナマコとタニシによく似た貝、中央が豚足、大鍋ではサナギ?みたいなものを唐揚げにしていました。
- ほかにも、肉やソーセージを串焼きにしたもの、豚足、ナマコ、ザリガニ、カエル、昆虫(!?)のから揚げなどなど、なんだかよくわからない食材や料理も並び、
「なんでもおいしく食べてやるぞ!」
という、中国の人の食に対する熱く、ポジティブな姿勢や探求心みたいなものが伝わってきました。
下の写真は、梨のコンポート。変わったところでは「パイナップルおこわ」なんていうのもありました。豊富なフルーツやスイーツも、女性の目を楽しませてくれます。
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- 梨とナツメのコンポート。お肌に良さそうですが、このままかぶりつくのかしら…。
- おなかがいっぱいになったら、いろいろな店を冷かして歩くだけでもおもしろい場所です。日本語どころか英語もほとんど通じませんが、身振り手振り、漢字を駆使してなんとかコミュニケーションが取れたときの達成感もまた旅の醍醐味。お店の人たちが想像していたよりずっと愛想がよくて、親切だったことも印象的でした。
ちなみにビールは、飲み物を売っている屋台で買うことができ、イートインスペースがある店に持ち込めます。ただし常温のまま売っている店が多く、たとえ冷蔵庫から出されたものでも冷えていないことがあるので、自分の手で触って確かめてから買うといいですよ。
成田~武漢は、SPRING JAPAN(春秋航空日本)の直行便で約4時間。週末1泊か2泊のスケジュールで戸部巷の朝ごはんを食べに出かける旅も、LCCだからこそできる楽しみ方なのです。