旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2016年6月13日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

火鍋に始まり、夜景で終わる重慶の夜

重慶名物の火鍋。山椒の刺激がビリビリきます!zoom
重慶名物の火鍋。山椒の刺激がビリビリきます!
中国第7の都市、重慶まではSpring Japan(スプリングジャパン/春秋航空日本)の直行便で約5時間。
長江と嘉陵江、2本の大河の合流地点にある重慶市は古くから水運で発展した土地。北海道ほどの広さがあり、市としては広大な中国のなかでも最も広い面積を誇るのだそうです。その重慶の名物といえば、なんといっても火鍋! 街中には色とりどりの「火鍋」の文字を掲げた看板が並び、ほかの料理を探すのが難しいくらいなのです。
ライトアップされた洪崖洞。zoom
ライトアップされた洪崖洞。
数えきれない火鍋の店のから訪れたのが、歴史的建築物を再現した商業施設「洪崖洞(ホンヤートン)」内のレストランです。岩肌に張り付くみたいな建物は、山と渓谷が多い重慶の急峻な地形を利用した吊脚楼と呼ばれる伝統的な建築スタイル。11階分もの高さがあり、敷地内には滝と吊り橋、まっ暗な洞窟を抜ける回廊も。正面からエレベーターで入ることもできますが、洞窟をくぐるコースのほうがちょっとスリリングでオススメです。

この洪崖洞、映画『千と千尋の神隠し』の湯屋をほうふつとさせるとのことで話題になったとか。日が暮れるとライトアップされ圧倒的な存在感を放ちます。
土産もの屋やレストランが軒を連ね、冷やかしながら歩くだけで楽しい場所。zoom
土産もの屋やレストランが軒を連ね、冷やかしながら歩くだけで楽しい場所。
古い街並みを再現し、路地が張り巡らされた建物の内部には屋台、小さな食堂から高級レストランやホテル、みやげ物屋、カフェ、スタバ&Subwayまであり、まるでひとつの街のよう。

重慶で最も楽しみにしていたのが火鍋ですから、「せっかくなら奮発しておいしいものを食べよう!」ということで、選んだお店がここ。高級店ですが5人で存分に食べて飲んで、ひとり2000円程度でした。
安っ!!

では、火鍋の食べ方講座を!

①数種類あるスープから、2種類を選びます。辛さの好みにもよりますが、辛めとマイルドを組みあわせると、唐辛子と山椒でしびれた舌をほぐしながら食べることができます。

➁鍋に入れる具を選びます。牛、牛タン、ブタ、カモ、羊肉、肉団子、内臓類、魚介、野菜は葉物、根菜、キノコセット。豆腐の種類もたくさんあり、凍み豆腐(本当に凍っている!)、黒豆腐(黒豆の豆腐?)、湯葉、珍しいところではカモの血の豆腐。恐る恐る食べてみたら、クセや生臭さは全く感じなくて、滑らかな舌触りでおいしかった!

③注文した具材が運ばれてくるのを待つ間に、別テーブルに用意されている薬味を取りに行きます。ゴマダレ、ポン酢風、唐辛子、のタレ、黒酢、ニョクナム風など。これに、ゴマ、刻みネギ、香草、おろしニンニク、唐辛子などの薬味もお好みで。
スープにもしっかり味がついているので、タレなしでも十分おいしいですよ。

④あとは、好きな具材を煮て食べるだけ。
ポイントは最初から具を入れ過ぎないこと。スープの色が濃いので、底に沈んで行方不明になる具も少なくないのです。自分が食べたいものだけ入れて、投入したものは責任もって食べるのがいいですね。

重慶のローカルブランドのビールは、これだけ飲むと水っぽくてビール好きには少々物足りないのですが、唐辛子の辛さと山椒のビリビリくる刺激でしびれた舌にはぴったり! ビールで舌の感覚を復活させ、改めて激辛の火鍋に挑む…、そんな感じかな。
好みのスープを2種類と、具材を選びます。赤いハンペンみたいなものが、カモの血の豆腐。zoom
好みのスープを2種類と、具材を選びます。赤いハンペンみたいなものが、カモの血の豆腐。
夜になると、洪崖洞の雰囲気が何やら怪しげに。山積みにされているのは、初めて目にする調味料の数々。やたら唐辛子系のものが多いです。串焼きの屋台、アイスクリームなどのスイーツ、そして火鍋の素も。四角いかたまりになっていて、お湯に溶かすだけで重慶名物を日本へ帰ってからも再現して楽しめます。麻婆豆腐に加えても美味しいとか。
土産もの屋には「火鍋の素」が並びます。もちろん、買って帰りました。zoom
土産もの屋には「火鍋の素」が並びます。もちろん、買って帰りました。
洪崖洞から見える千厮門大橋のライトアップも必見!
川添いの遊歩道ではローカルミュージシャンの路上ライブがあり、CDショップ、占い師、アクセサリーの店も出ています。川をわたってくる心地よい風で火鍋で火照った体を冷ましながらぶらぶら歩くのがいいですよ。

重慶の夜は、なかなかエキサイティング!
このエリアに関していえば、夜も治安の心配はなさそうです。
千厮門大橋のライトアップも重慶名物のひとつ。zoom
千厮門大橋のライトアップも重慶名物のひとつ。
中国語では、「到重庆不吃火锅,等于没到重庆」(重慶に来て火鍋を食べなければ、重慶に来たことにはならない)という言葉があるそうです。
また「不覧夜景、未到重慶」(夜景を覧ずんば、いまだ重慶に至らず)と語る人もいるのだとか。

火鍋に始まり、夜景で終わる重慶の夜。Spring Japanなら朝、成田を発ち夕方重慶に到着、火鍋&夜景を堪能し翌日帰国する1泊2日の旅で、エア、ホテル、存分に食べて飲んで予算は2万円から。週末の火鍋ツアー、またぜひ行ってみたい!
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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