旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年7月26日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

オークランド市街を見渡すクラシカルな「The Esplanade Hotel」

市街からのフェリーから降り立つとまず見えるのがこのホテルzoom
市街からのフェリーから降り立つとまず見えるのがこのホテル

デボンポートはオークランド市街とは雰囲気が異なり、ビクトリア調のクラシカルな建物が今も残る人気の観光地です。
オークランド市内から運行されるフェリーのターミナルから一番の観光スポットであるマウント ビクトリアまでは、徒歩でも15分程。その道すがら、お洒落なレストランやカフェを多数見かけます。アンティークショップ、地元デザイナーのブティック、雑貨や古本屋など、オークランドの市街地では見かけない個性的なお店も多くあり、散策するだけでも充分楽しめます。

今回は、そんなデボンポートのフェリーターミナルからすぐのところにあるシンボル的な存在の
The Esplanade Hotel』に泊まってみました。

港のすぐ前の交差点角にある3階建てのこのホテルは、眺めもいいことから窓が広く取られている開放的な造りです。
白い建物にテラスの赤いパラソルが映え、可愛らしい外観です。晴れた日のここでのカフェタイムは、港からの風が爽やかで心地良さそうです。

入って正面にあるチェックインカウンターでは、椅子に腰かけてスタッフと会話しながら手続きができるアットホームな感じ。

上階へはエレベーターも使えますが、厚い絨毯の敷かれた階段を昇ってみると小さな発見があります。
ビクトリア調の落ち着いた内装で、工夫の凝らされた絵画や置物を見ていると、なんだか古き良き英国にいるような気さえしてきます。
廊下には本棚があり、すぐそばにはソファも置かれていましたので、ゆったりとくつろいで本を読めます。

素敵なインテリアに囲まれた館内zoom
素敵なインテリアに囲まれた館内

部屋に入ると、まず広々とした造りに驚きます。天井が非常に高く、古い伝統のある建物を綺麗に維持されているなと感じます。
奥には全面がガラスのサンルームがあり、窓を開けてみると港がすぐ目の前に見え、ワイテマタ湾からの気持ちのいい風が流れ込んできました。ここに座って一日のんびりと海を眺めながら、お茶を飲んだり仕事をしたりするのも悪くないなと思います。

ベッドルームは大きなクローゼット、広いデスクなど、英国調オールドスタイルで非常に趣があります。
老舗のホテルですが、壁には42型の液晶テレビがあり、使いやすくリニューアルされた部屋であることがわかります。
洗面台には、ニュージーランド製のオーガニックのアメニティ。バスタブも広く、足を伸ばして旅の疲れを充分に癒すことができました。

天井の高い部屋に続くサンルームからは海が目の前にzoom
天井の高い部屋に続くサンルームからは海が目の前に

1階に下りてバーラウンジを抜けると「エスプラナーデホテル・バーアンドレストラン」
ゆったりとしたダイニングルームになっており、英国ビクトリア調で彩られた調度品が目を惹きます。

ちょうど「Mid-year Christmas」の時期だったようで、店内はリースやキャンドルなどクリスマスの飾りがあり、とても素敵な雰囲気になっていました。
Mid-year Christmasの由来については諸説あるようですが、本来のクリスマス時期の12月が夏にあたるニュージーランドなど一部の南半球の国では、冬のクリスマスの雰囲気を味わおうと7月にもクリスマスを祝います。暖炉では赤い火が燃え、クリスマスの雰囲気に華を添えます。

Mid-year Christmasの装飾が目を楽しませてくれますzoom
Mid-year Christmasの装飾が目を楽しませてくれます

多くのメニューの中から、シュリンプカクテル、ステーキとムール貝を注文。
ムール貝は、ポットでサービスされると書いてありましたが、出てきたトレーを見て、驚愕!ポットとはシチューでも煮込みそうな深い鍋のことで、その中には、グリーンマッスルと呼ばれる大きなムール貝が山のように入っていました。木のトレーに載せられた付け合わせの大きなポテトも豪快です。

こんなに大きなムール貝は初めてだと思いながら食べてみると、身がふっくらとしていてジューシー。
磯の香りと野菜の香り、そして濃厚な白ワインソースのクリームチャウダーでどんどん食べられます。こんなに大きな鍋で、きっと上げ底になっているに違いないと思い食べ進めていましたが、そうではなく、いったいいくつ食べたのかと殻の山を見て可笑しくなりました。
フィレステーキもボリューム満点で、暮れてゆく港の景色と共に、素晴らしいディナーになりました。

グリーンマッスル 迫力がありますzoom
グリーンマッスル 迫力があります

夕食の後、夜景を見るためにマウント ビクトリアに。昼間であれば頂上まで車で行くことも可能ですが、この時期の夜間は門が閉まるため、徒歩です。山と言っても標高約80mですので、食後の散歩にもちょうどいい距離でした。

なだらかな舗装された坂を登りながら、ふと空を見上げると、夜空いっぱいの星が・・・。東京では絶対に見ることのできないその数に、ただただ圧倒されました。
頂上に着くと、スカイ・タワーを中心としたオークランド市街の夜景が星の感動と同じように、綺麗にまたたいていました。

朝食は1階のレストランで頂きます。ブッフェではなくオーダー式で、エッグベネディクトとパンケーキを選びます。
エッグベネディクトは、ニュージーランドらしく、ベーコンの代わりにたっぷりのスモークサーモン。フレッシュフルーツの乗ったパンケーキは香ばしく、ホイップクリームは甘さ控えめ。窓からは海が見え、熱々のメニューの湯気の向こうには暖炉の火が見えていました。

港を眺めながらの贅沢な朝食の時間を過ごせますzoom
港を眺めながらの贅沢な朝食の時間を過ごせます

デボンポートは人気の観光地であると共に、その地形からアクセスが限られており、治安がいいとのことで、富裕層が多く住む静かな住宅街でもあります。
オークランド中心部までは車で20分とは思えない程静かで、近代化の進む市街とはまた違った時間が流れている感じがしました。

そんなデボンポートに建つ「The Esplanade Hotel」は、もっと長く滞在していたくなる魅力的な場所でした。

The Esplanade Hotel
住所:1 Victoria Road, Devonport,
Auckland 0624, New Zealand.
電話:+64 9 445 1291

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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