旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年7月7日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

長距離機材を日本線に投入するキャセイパシフィック航空のビジネスクラスとは

香港国際空港で駐機するキャセイパシフィック航空ボーイング777-300ERzoom
香港国際空港で駐機するキャセイパシフィック航空ボーイング777-300ER

キャセイパシフィック航空の長距離国際線の主力機ボーイング777-300ERは、羽田と香港を毎日結んでいます。

ビジネス需要を見込んでファーストクラスを装備した機体は、2コンパートメントにまたがった広々とした空間に、ビジネスクラス53席を装備しています。

ヘリンボーン型の1-2-1配列で、ジャンボに装備された逆Wの字からWの字に変わり、より個室感が高まったことにより評判も上々と聞きます。
まずは、乗って確かめてみることにしました。

香港を朝に出発するCX548便。この日は機体番号B-KPHが待っていました。
搭乗の開始に少し時間が掛かっていたので、スタッフに聞いてみました。
「チューリッヒから飛んできたばかりなので、出発準備にお時間が掛かります。もう少々お待ちください」このように発地まで具体的に伝えて頂くと、待ち時間が気になりません。また「香港国際空港では、夜間駐機している機体は無いんですよ」とも教えてくれました。初めて聞く内容でしたが、国際線のみ運航するキャセイパシフィック航空では有り得るなと妙に納得しました。

個室感覚を持つビジネスクラスシートとフルフラットシートzoom
個室感覚を持つビジネスクラスシートとフルフラットシート

ビジネスクラス最後方26Gに座ります。
他の席には無い、後方の壁との間に物を置けるスペースもあります。
サービスの格付けで上位にランクインされるビジネスクラスシートですが、実際に座ってみると、なるほどと思うような広さです。
中央部2席は前方に寄り添う形で、二人連れにいい配置となっています。シートの位置は前後に30cm弱移動できるようになっていますので、隣席が知り合いなら座席を前方にスライドさせれば顔を見て会話ができますし、他人であれば仕切られていることもあり、動きは気になりません。
窓側席は窓の方を向いています。中央席、窓側席共に通路を歩く人とは目が合わない構造になっていますので、仕事にも集中できそうです。

中央席の前方には生花が飾られており、気持ちを和ませてくれます。
よく使う小物などはシート横のノイズキャンセリングヘッドフォンの入った扉式の収納にも収まりますので便利です。
更にシート下部にはスライド式収納があり、靴を入れることができます。このように、使う時にはすぐ手の届く位置にありながら、見えないように収納できますので、ストレスなく快適に過ごすことができます。

シートは電動でフルフラットベッドになり、長さは2メートル強、拡張部分を使用の際の幅は16.5cmも拡大するゆとりある広い空間で、短時間でも熟睡することができました。

通路側の肘掛は上下可動式で、位置を好みで設定できます。
テーブルは隣席との間の三角のスペースを使って固定式のものが装備されており、これだけでもかなりの大きさがあります。
更に、その下から引き出し式の二つ折りテーブルが出てきます。食事になると客室乗務員さんが白いテーブルクロスを敷いてくれますので、機内とは思えないような立派なダイニングになります。

随所に乗客のニーズを捉えた効率的な設計が成されていると感じました。

フルーツから始まる機上レストランの朝食zoom
フルーツから始まる機上レストランの朝食

一息ついていると、客室乗務員さんに名前で呼びかけられ、ウェルカムドリンクのサービスがありました。この丁寧な接客は、さすがビジネスクラスのおもてなしだと感じます。

次に朝食メニューが配られました。
まずは、フルーツのプレートと温かい各種バゲットです。これだけでもかなりのボリュームがあります。
その後、洋食、和食、中華とメインは3種類から選ぶことができました。
和食をチョイスしました。朝食はラウンジで食べていましたのでお腹は空いていませんでしたが、一口食べてみると身がふっくらと柔らかくしっかりとした味付けで箸が進み、結局全て食べてしまいました。

食事の締めくくりのコーヒーはillyでした。 

客室乗務員さんの自然な笑顔zoom
客室乗務員さんの自然な笑顔

その後、IFEを操作してみます。
映画20本にTV番組が71本、音楽アルバムが26本もあれば短距離では多すぎるくらいです。画面は前の座席の背中にあたる部分に収納されていて、引き出して見ます。

楽しかったのは機外カメラです。胴体下部前輪の後ろに設置されたカメラが外部の景色を写し出します。
着陸の際には、車輪が出てくるところや着陸前の滑走路に進入する様子を見ることができ、かなりの迫力がありました。
 
帰路は、ジェット気流に乗って往路より早い3時間半程度で到着しました。早く到着した安堵感よりも、この居心地のいい機内でもっと過ごしていたいとつい思ってしまったくらい、楽しく快適なフライトでした。

ビジネスクラスを担当してくれた客室乗務員さんzoom
ビジネスクラスを担当してくれた客室乗務員さん

機外カメラでは滑走路22を使って羽田空港に着陸する様子を写し出しています。
キャセイパシフィック航空は、ジャンボジェットの退役後はこのボーイング777-300シリーズ70機をフル稼働させて長距離国際線を中心に飛ばしていきます。
その基幹機種が快適に作られているのは当たり前なのかも知れません。
この機材はこの先も長く就航します。この快適なフライトにまた近いうちに搭乗できることを期待しています。

CX548便到着後のクルー オールキャストzoom
CX548便到着後のクルー オールキャスト

客室乗務員さんの笑顔に見送られながら、いいサービスはこんな空間から生まれるのだなと感じました。

「Life Well Travelled」キャセイパシフィック航空 旅のキャッチフレーズそのままに、充実した旅を終えることができました。

キャセイパシフィック航空

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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