トラベルコラム

  • 【連載コラム】トラベルライター岩佐 史絵
  • 2016年6月1日更新
贅沢☆旅スタイル
Writer:岩佐 史絵

一歩も外に出ない! マジェスティックな“おこもりステイ”その1

KLのランドマーク、超近代的なペトロナスツインタワー。夜景も美しいzoom
KLのランドマーク、超近代的なペトロナスツインタワー。夜景も美しい
 ビジネスはもちろん、近年では留学先としても注目のマレーシア。その首都クアラルンプール(KL)といえば破竹の勢いで成長を続けるメトロポリスだ。初めて訪れた者はその都会ぶりに驚かされることは必至。さすが、2020年までに先進国入りを目指すと豪語するだけある。
 そんなKL。行くたびに食い倒れとショッピングにあけくれ、モノレールと電車を駆使して精力的に歩き回る。夜、ホテルに着いたころにはくたくた、バスルームからツインタワーの夜景を眺めつつお風呂に入っていたらそのまま眠りそうに……というのがいつものパターンだ。ホテルで楽しんでいるのはお風呂だけ(あと朝食! マレーシアのホテルは朝食が楽しいのだ)、ということもままあった。しかし今回のKL滞在は違った。なにしろホテルから一歩も外に出なかったのである。
ホテルの付近にも旧KL鉄道駅などコロニアルな建築物があるzoom
ホテルの付近にも旧KL鉄道駅などコロニアルな建築物がある
 ところはマジェスティックホテル(The Majestic Hotel Kuala Lumpur http://jp.lhw.com/hotel/The-Majestic-Hotel-Kuala-Lumpur)。シンガポールのラッフルズホテルやペナン島のイースタン&オリエントホテルのように、英国統治時代に建設されたコロニアル建築が美しいホテルの代表例だ。1930年代にホテルとして建設されたクラシカルな「マジェスティックウィング」と近代的な15階建てのタワー棟にわかれており、マジェスティックウィングはマレーシアの国家遺産にも認定されている。政府お墨付きの歴史建造物なのである。この「マジェスティックウィング」にすっかりハマったあたくしは、クアラルンプールにいるというのに遊びにも行かずおこもりを決め込んだのであった。
デスクとソファ、完璧なオフィス状態。充実のミニバーがあるので仕事はしないけどzoom
デスクとソファ、完璧なオフィス状態。充実のミニバーがあるので仕事はしないけど
 「マジェスティックウィング」に宿泊する場合、チェックインはカウンターではなく室内やラウンジで行うことが可能だ。疲れているようならゆっくり自室のソファに腰掛けて、もし余力があるならラウンジで一杯お茶でもいただきつつ、というチョイスができる。とりあえず、とまず部屋へ。スイートタイプの部屋は書斎&リビング、そしてベッドルームにわかれている。エントランスからずっと続く、フローラル系のフレグランスが、室内ではいっそうさわやかにかぐわしく感じられる。この香り、同ホテルのオリジナルだそうだが、かなり好きだ。残念ながら販売はしていないというので、滞在中は存分に楽しむとしよう。……つまり「建物から出ない!」という選択を、チェックインの時点でしたのである。
ちょっと遅いアフタヌーンティー、この光の加減がまた最高の時を演出zoom
ちょっと遅いアフタヌーンティー、この光の加減がまた最高の時を演出
 室内のソファに深く腰を下ろし、しばし、ミニバーからいただいたビールをいただく。ミニバーも宿泊料に含まれており、ラウンジまで行かなくても室内で飲み物を楽しむことが可能だ。デスクに移動してメールチェックをしたり、とごちゃごちゃやっていると、ふと小腹が空いたのを感じる。いや、仕事のメールがきていたのを見て単に現実逃避がしたくなっただけかもしれない。とはいえちょっと下へ行って、気分を変えようかな~、と、PCを小脇に抱え部屋を出る。目指すは2階のラウンジだ。廊下にもオリジナルフレグランスのいい香りが漂い、ご機嫌。時刻はそろそろ夕刻、ちょうどカクテルアワーの始まるころか。外では雷の轟音とともに激しく夕立が降り始めた。こんな東南アジアらしい風景も、屋内から眺めるのはいいものだ。
次々にお代わりを持ってきてくれるので、”ついうっかり”zoom
次々にお代わりを持ってきてくれるので、”ついうっかり”
 席に案内され、モヒートを注文する。ついでにちょっとしたフィンガーフードも運ばれて来た。実はカクテルアワーには少々早かったようで、運ばれてきたのはアフタヌーンティーのスナックだ。スコーンにエクレアやチョコレートケーキなどのプティ・フールが4種。こんなに食べられない! とか言いつつ、ひとつ、またひとつと手が止まらない。だって、ここん家のスコーン、おいしいのだ。さっくりと軽い口当たりでありながら、パサつかない。そのうえ、ミートパイなどの点心まで。ビュッフェではなく、スタッフがトレイに乗せてサーブしてくれるスタイル。カクテルとともにうっかりお腹がいっぱいになるまで食べてしまった。
 気づけば夕立は止み、だんだんとあたりが暗くなってくる。見回すと、ドレスアップした男女の姿が増えてくる。特別な夜に、そして重要なビジネスディナーにと、選ばれるのがマジェスティックホテル。この場に身をおくことそのものがステイタス、なのだろうなと感じさせる。
フレッシュミントたっぷりのモヒートがここでのお気に入りに。贅沢すぎる♪zoom
フレッシュミントたっぷりのモヒートがここでのお気に入りに。贅沢すぎる♪
 続きは部屋で、のんびりいこうかな。ふたたびPC(実はぜ~んぜん仕事はしなかったけど)を小脇に抱え、部屋へ戻る。さきほど1本いただいた室内のバーの冷蔵庫はすでに補充してあり、またかぐわしいフレグランスに包まれて至福の夜を過ごしたのであった。
Writer:岩佐 史絵
旅に貴賎なし! 旅をしていないと血中旅度が下がってお腹が痛くなってしまうほどの旅好きが高じてトラベルライターに。ONもOFFも旅一色。妊娠中も子育て中も闘病中も行きたいところには必ずでかける体力自慢。著書『人生のサプリを見つける旅ガイド』(ソニーマガジンズ刊)ほか。
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